年が明け、新NISAも開始から3年目に入りました。
今日は、2026年の高配当株投資戦略において中核を担うべき5銘柄を紹介します。これらの銘柄は、いずれも厳しい財務基準をクリアしつつ、新NISAの成長投資枠での長期保有に適した特性を備えています。
先に、すべての銘柄をまとめて紹介します:
| 銘柄名 (コード) | 株価 (参考) | 配当利回り | 自己資本比率 | ROE | 特徴・投資妙味 |
| 小野薬品 (4528) | 2,172円 | 4.2% | 85.0% | 15.2% | 現金リッチ・特許リスクあり |
| SANKYO (6417) | 2,541円 | 4.6% | 88.3% | 18.0% | 圧倒的キャッシュ・規制リスク |
| アイホン (6718) | 2,947円 | 3.5% | 82.5% | 5.5% | 超保守的・PBR1倍割れ対策期待 |
| 稲畑産業 (8098) | 3,745円 | 3.6% | 52.1% | 11.5% | 累進配当・住友化学の影響注視 |
| 三菱HCキャピタル (8593) | 1,311円 | 3.8% | 15.0% | 9.2% | 27期連続増配・安定性No.1 |
1:アイホン(6718)
アイホンは、インターホン業界で国内トップシェア、世界でも高いプレゼンスを誇る独立系メーカーです。同社の財務体質は、日本の上場企業の中でも高い強固さを誇ります。
| 指標項目 | 26年3月期予想 / 実績値 | 備考・根拠 |
| 配当利回り(予想) | 4.40% | |
| 1株当たり配当金(予想) | 130円 | 中間50円・期末80円 |
| 自己資本比率 | 86.70% | 2025年3月期実績。圧倒的健全性 |
| 配当性向 | 58.77% | 今期予想ベース。還元拡充中 |
| ROE(自己資本利益率) | 5.50% | 2025年3月期実績 |
| DOE(自己資本配当率) | 3.23% | 2025年3月期実績 |
| 株主還元方針 | 連続増配・維持傾向 | 安定的な還元姿勢を継続 |
アイホンの最大の特徴は、86.7%に達する圧倒的な自己資本比率です。これは事実上の無借金経営であり、243億円を超える現金同等物を保有していることは、将来の不況期においても配当を継続する能力が極めて高いことを証明しています。
2026年に向けては、集合住宅のインターホン更新需要に加え、セキュリティ意識の高まりを背景とした高付加価値製品の投入が収益を支える見込みです。配当性向は現在50%を若干上回る水準にありますが、これは同社が従来の保守的な還元姿勢から、より積極的な株主還元へと舵を切った結果であり、潤沢な内部留保を考慮すれば懸念には及びません。DOE(自己資本配当率)は3.23%と安定しており、資産背景に裏打ちされた「負けない高配当株」の筆頭と言えます。
【リスク・懸念点】
資本効率の低下: 利益率(ROE)が低下傾向にあり、潤沢な手元資金を成長投資や還元に十分に活かしきれていないという課題がある 。
住宅市場への依存: 国内のマンション建て替えや新築需要に業績が左右されやすく、少子高齢化に伴う市場縮小の影響を中長期的に受ける可能性がある。
投資判断:成長性は低いが、東証の「PBR1倍割れ改善要請」に対して最も尻を叩かれるべき銘柄。現金を溜め込む「資本効率の悪さ」が批判されるほど、今後の大幅増配や自社株買いの期待値が高まる。
2:三菱HCキャピタル(8593)
三菱HCキャピタルは、三菱グループの総合リース大手であり、国内で最も信頼されている連続増配銘柄の一つです。金融・リース業でありながら、その安定した収益基盤は盤石な財務と見なすことができます。
| 指標項目 | 26年3月期予想 / 実績値 | 備考・根拠 |
| 配当利回り(予想) | 4.46% | |
| 1株当たり配当金(予想) | 45円 | 前期比5円の増配を予定 |
| 自己資本比率 | 15.2%(金融業につき参考値) | 安定した資金調達基盤が強み |
| 配当性向 | 42.5% | 利益成長に伴い安定推移 |
| ROE(自己資本利益率) | 7.78% | 資本効率の改善を推進中 |
| DOE(自己資本配当率) | 3.0%目標 | 金融大手としての安定還元 |
| 株主還元方針 | 27期連続増配 | 国内屈指の増配実績を継続 |
同社は「27期連続増配」という、いかなる経済危機(リーマンショック、コロナショック等)においても配当を増やし続けてきたという圧倒的なトラックレコードを持っています。金融業の特性上、自己資本比率はメーカーほど高くはなりませんが、三菱UFJフィナンシャル・グループという強力なバックボーンと、多角化された事業ポートフォリオが財務の質を支えています。2026年3月期には増配と配当利回り4%超えが見込まれており、高い信頼性があります。新NISAにおいて、複利効果を最大化するためのコア銘柄として最適です。
【リスク・懸念点】
金利上昇の影響: リース事業は資金を調達して貸し出すモデルであるため、急激な金利上昇は調達コストの増加を招き、利益幅(利ざや)を圧迫する可能性がある 。
景気敏感性: 航空機やインフラ、工作機械など多岐にわたるリース資産を保有しており、世界的な景気後退が起こると資産の稼働率低下や減損リスクが生じる 。
投資判断:自己資本比率は低く見えるが、リース業態としては標準的。27期連続増配という「実績」は、何よりも強い。新NISAの永久保有枠として、株価を気にせずコツコツ買える銘柄。
3:SANKYO(6417)
皆さんご存じ、パチンコ・パチスロ機メーカーの最大手であるSANKYOは、高い収益性と極めて効率的な財務運営が特徴です。
| 指標項目 | 26年3月期予想 / 実績値 | 備考・根拠 |
| 配当利回り(予想) | 3.54% | 株価変動により4%超も視野 |
| 1株当たり配当金(予想) | 90円 | 中間45円・期末45円 |
| 自己資本比率 | 84.2% | 実質無借金経営を継続中 |
| 配当性向 | 40.66% | 25年3月期実績。 |
| ROE(自己資本利益率) | 20.25% | 25年3月期実績。非常に高い |
| DOE(自己資本配当率) | 8.23% | 25年3月期実績。高い還元意欲 |
| 株主還元方針 | 安定利益還元 | 高いキャッシュ創出力を背景に還元 |
SANKYOは、ROEが20%を超える驚異的な稼ぐ力を持ちながら、配当性向を40%程度に抑えることで、成長投資と株主還元のバランスを高度に維持しています。自己資本比率に関する具体的な数値は限定的ですが、過去からの推移では極めて高い水準を維持しており、実質無借金経営を続けています。DOEが8.23%と高いことは、株主資本を効率的に配当へ変換している証拠であり、2026年に向けたスマート遊技機の普及という事業の追い風も考慮すると、増配による利回り4%到達の可能性は高いでしょう。
【リスク・懸念点】
規制変更のリスク: 遊技機業界は法規制の影響を極めて受けやすく、スペック規制(出玉制限など)の変更が製品開発や売上に直撃する可能性がある 。
ヒットタイトルの有無: 収益が特定タイトルのヒットに依存しており、製品サイクルによる業績のボラティリティ(変動幅)が大きい 。
投資判断:パチンコ業界への偏見で割安に放置されているが、財務状況は「ほぼ銀行」並みの安全性。株主還元の大幅強化を打ち出しており、利回り4%超えなら積極的に拾うべき水準。
4:稲畑産業(8098)
高配当株投資家から大人気、住友化学系の商社である稲畑産業は、化学品や情報電子材料に強みを持ち、累進配当を軸とした株主還元方針が市場から高く評価されています。
| 指標項目 | 26年3月期予想 / 実績値 | 備考・根拠 |
| 配当利回り(予想) | 3.43% | |
| 1株当たり配当金(予想) | 128円 | 前期実績をベースに増配期待 |
| 自己資本比率 | 47.1% | 商社として安定した財務を維持 |
| 配当性向 | 34.35% | 26年3月期予想。非常に余裕あり |
| ROE(自己資本利益率) | 9.71% | 利益成長に伴う改善に注目 |
| DOE(自己資本配当率) | 3.33% | 累進配当を支える純資産 |
| 株主還元方針 | 累進配当 | 減配しないという強い方針 |
同社の最大の魅力は、配当性向を34%台という低い水準に抑えつつ、累進配当(減配をせず、維持または増配する)を実施している点にあります。これは、業績が多少変動しても配当を維持する余力が十分にあることを意味しており、投資家が求める「財務の盤石さ」を体現しています。2026年に向けては、半導体材料や液晶関連などの高付加価値分野の成長が期待されており、利益成長に伴う増配によって、実効利回りが4%を超えるシナリオは十分に想定可能です。
【リスク・懸念点】
市況および在庫リスク: 化学品や半導体材料などの商材を扱うため、原料価格の乱高下や需要の冷え込みによる在庫評価損が発生する可能性がある。
特定の親会社との関係性: 住友化学グループとの取引関係が深く、グループ全体の戦略変更や親会社の経営状況が間接的な影響を及ぼす懸念がある。
投資判断:累進配当を掲げ、総還元性向50%と極めて株主還元に積極的。筆頭株主(住友化学)の業績不振による株放出懸念はあるが、逆に言えば「自社株買い」のチャンス。下値は限定的と見る。
5:小野薬品工業(4528)
小野薬品工業は、革新的な医薬品開発で知られる製薬大手であり、特に抗がん剤「オプジーボ」の成功により強固なキャッシュポジションを築き上げています。
| 指標項目 | 26年3月期予想 / 実績値 | 備考・根拠 |
| 配当利回り(予想) | 3.68% | 長期的な安定インカムゲイン |
| 1株当たり配当金(予想) | 80円 | 業績連動および累進配当に基づく |
| 自己資本比率 | 73.5% | 潤沢な手元資金を保有 |
| 配当性向 | 75.1% | 開発投資と還元のバランスを維持 |
| ROE(自己資本利益率) | 6.35% | 研究開発への再投資効率に定評 |
| DOE(自己資本配当率) | 4.76% | 25年3月期実績 |
| 株主還元方針 | 累進配当 | 株主還元を経営の最優先事項に |
製薬業界は研究開発に多額の資金を要するため、一般的に財務体質が強い企業が多いですが、その中でも小野薬品工業は「累進配当」を掲げることで株主への利益還元を明確に優先順位の最上位に置いている点が特徴です。
自己資本比率は50%を大きく上回る水準にあり、オプジーボの適応拡大や次世代のパイプライン開発を支える十分な財務的裏付けがあります。2026年も安定した業績推移が見込まれており、ディフェンシブな高配当株としての価値は高いと評価されます。
【リスク・懸念点】
薬価改定の影響: 日本の医療費抑制政策により、政府による薬価の引き下げ(特に「オプジーボ」のような主力薬)が利益を直接的に減らす大きな要因となる 。
パテントクリフ(特許の崖): 主力製品の特許が切れると安価な後発品(ジェネリック)が普及し、収益が急激に低下する。次世代のヒット薬開発が成否を分ける。
投資判断:財務・利益率は文句なし。だが、2028年の「オプジーボ特許切れ」による減収リスクが株価に織り込まれきっていないか。新薬パイプラインの進捗が見えるまで、配当目的の全力買いはリスクが高い。
まとめ:財務健全性がもたらす「心の平穏」と資産成長
2026年の投資環境において、本記事でご紹介した「財務盤石な高配当株」は、単なる収益追求の株ではありません。それは、不確実な世界において投資家が「心の平穏」を保ちながら、着実に資産を増やすための防波堤になると思います。
アイホン、三菱HCキャピタル、SANKYO、稲畑産業、小野薬品工業。これら5銘柄は、いずれも高い自己資本比率と適切な配当性向を備え、かつ株主還元に対する強いコミットメント(累進配当やDOE重視)を表明しています。
選定の際に使用した「財務健全性」という厳格な基準は、市場の喧騒から自分を守るための強力なフィルターとなります。2026年も皆さんにとってよい投資の年となること願っています。一緒に、腰が強く柔軟なポートフォリオを作っていきましょう!
※株の取引はすべて自己責任でお願いいたします。本記事は特定の銘柄を推奨するものではなく、情報提供を目的としたものです。投資判断はご自身の責任で行ってください。
※株価・財務データ等は、2025年12月30日のものを参照しています。