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新NISAの成長投資枠(年240万円)、何に使っていますか?
新NISAが始まって以来、投資家コミュニティでよく見かける議論があります。「成長投資枠は高配当株に使うべきか、それとも成長株に入れるべきか」。NISAの口座数がすでに2,800万口座を超えた現在も、この問いに正解が出ないまま迷い続けている方は少なくないはずです。
私はこの問いに対して、かなり早い段階で自分なりの答えを出しました。結論から言うと、私は成長投資枠のほとんどを高配当株に使っています。現在80銘柄を超えた今も、そのスタンスは変わっていません。
新NISAが始まったとき、私は迷わず成長投資枠に高配当株を詰め込みました。正解だったかどうかは、20年後に教えます(笑)。
ただし、これが万人にとって正しい答えだとは思っていません。今回はその判断基準を5つの観点で整理してみます。「高配当株が正解・成長株は間違い」という話ではなく、「自分はどちらか」を考えるためのフレームワークとして使っていただければ幸いです。
まず整理:成長投資枠とつみたて投資枠、何が違うのか
判断基準に入る前に、制度の基本を簡単に確認しておきます(金融庁 NISA特設サイト)。新NISAには2つの投資枠があります。
- つみたて投資枠:年間120万円。長期・積立・分散投資に適した投資信託・ETFのみが対象。毎月コツコツ積み立てる専用の枠です。購入方法も「積立」のみに限定されています。
- 成長投資枠:年間240万円。個別株・ETF・投資信託など幅広く投資可能。積立だけでなく、自分のタイミングでの一括投資もできます。
2つ合わせて年間360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)です。
つみたて投資枠はオルカンやS&P500などのインデックスファンドで埋めるのが定番の使い方とされています。では、残りの成長投資枠240万円をどう使うか。この枠は「何でも入れられる」自由度の高さがあるゆえに、迷いが生まれます。
以前の記事では、NISAで配当再投資を10年続けた場合の効果をシミュレーションで解説しました。今回はその前段として、そもそも成長投資枠に何を入れるべきかという判断基準を整理します。
高配当株と成長株、成長投資枠との相性を比較する
「高配当株か成長株か」と悩む前に、両者の基本的な特性を整理しておきましょう。
| 観点 | 高配当株 | 成長株 |
|---|---|---|
| 主なリターン源 | 配当収入(インカムゲイン) | 株価上昇(キャピタルゲイン) |
| 値動き | 比較的安定 | 大きい(上にも下にも) |
| NISAの非課税メリット | 配当の20.315%が非課税 | 売却益の20.315%が非課税 |
| 向いている投資家 | 安定収入を重視・長期保有派 | 大きなリターンを狙う・相場を読める人 |
| 失敗した場合の影響 | 減配・株価下落(配当が心理的支えになる) | 大幅な株価下落(配当がないため心理的ダメージ大) |
どちらが優れているのではなく、自分の目的・性格・状況に合う方を選ぶことが重要です。
特にNISAの場合、非課税メリットをどこで活かすかという視点が判断の鍵になります。高配当株は「毎年の配当が非課税」、成長株は「将来の売却益が非課税」というメリットをそれぞれ持っています。どちらのメリットを重視するかは、自分の投資スタイル次第です。
私が成長投資枠の使い方を決めた5つの判断基準
以下の5つの観点で自分がどちらに当てはまるかを考えると、自ずと答えが出てきます。それぞれに私自身の場合も正直に添えます。
判断基準①:投資の目的は「インカム」か「キャピタル」か
最も基本的な問いです。毎年・毎四半期に「お金が入ってくる仕組みを作りたい」ならインカム重視で高配当株、「将来的な資産の最大化を狙いたい」ならキャピタル重視で成長株が有力な選択肢になります。どちらが正しいということはありませんが、目的が曖昧なまま投資を始めると、下落時に判断を誤りやすくなります。「なぜ投資しているのか」という根本の動機に立ち返ることが最初のステップです。
私の場合:「給料とは別に、毎月・毎四半期に自動的にお金が入ってくる仕組みを作りたい」という動機が出発点でした。配当が届くたびに「投資が機能している」と実感できる体験が、継続投資のモチベーションになっています。この動機には高配当株がフィットしました。
判断基準②:相場を読む時間とスキルがあるか
成長株投資では、「いつ買って、いつ売るか」のタイミングが非常に重要です。業績トレンドや市場全体の動向を継続的に確認し、売り時を判断するためのスキルと時間が必要になります。業績が期待通りに成長しているか、競合環境に変化はないかを常にウォッチし続ける必要があります。一方、高配当株は「財務が安定していて、配当方針が明確な企業を買ってほぼ放置」というスタイルが取りやすいです。
私の場合:本業が忙しく、毎日相場を追い続けるのは現実的ではありません。「買ったらほとんど見ない」スタイルが自分の性格とライフスタイルに合っていると判断しました。高配当株の「買ったら配当をもらいながら待つ」スタイルは、忙しい会社員に特に向いています。
判断基準③:精神的な耐久力(含み損に耐えられるか)
成長株では−30〜50%の含み損が珍しくありません。「それでも信じて持ち続けられるか」という精神的な耐久力が試されます。相場が急落したとき、配当という定期収入がない状態で含み損だけを抱えながら保有継続できるかどうかは、実際に経験してみないとわからない部分もあります。高配当株も株価は下がることがありますが、配当が届くことで「持ち続けるための報酬」があります。配当が心理的なクッションになる感覚です。
私の場合:含み損を抱えながら配当もない状態が続くと、保有継続が難しくなるタイプです。配当という「定期的な成果」がないと、長期保有を心理的に維持できないと自覚しています。成長株では自分の精神的な弱さが出ると判断しました。
判断基準④:投資歴・経験値はどのくらいか
成長株の選定には、企業の成長ストーリーの理解・業界全体のトレンド把握・決算分析など、一定以上のスキルが必要です。PEGレシオや売上成長率の解釈、競合との比較など、判断に必要な要素が多岐にわたります。一方、高配当株は「財務が安定しているか」「配当方針が明確か」「過去の配当実績はどうか」という比較的シンプルな基準で選べます。投資の入口として、取っつきやすいのは高配当株の方です。
私の場合:投資を始めた当初、高配当株の分析を通じて「財務諸表の読み方」「配当性向の意味」「キャッシュフローの重要性」を学びました。最初から成長株に飛び込むよりも、まず高配当株で投資の基礎を体感するのは合理的だったと振り返っています。
判断基準⑤:生涯1,800万円の枠をどう考えるか
NISAの生涯投資枠は1,800万円です。一度使った枠は、売却した翌年に枠が復活しますが、復活のペースには限りがあります。成長株を売却して利益確定し、高配当株に乗り換えるという「枠の戦略的な使い方」もありますが、売却のたびに枠を消費するため管理が複雑になります。一方、高配当株を長期保有し続けることで「売らない=枠を消費しない」という安定した運用ができます。
私の場合:「高配当株を買ったら基本的に売らない」というスタンスのため、買った枠をそのまま長期間活用できます。成長株のように「上がったら売る」という前提だと、枠の管理が複雑になります。シンプルに「買って持ち続ける」スタイルと高配当株の相性が、自分のやり方に合っていました。
高配当株か成長株か、正解は自分の中にある
ここで正直に言っておきます。長期的な資産の最大化という観点では、成長株の方が高いリターンになる可能性があります。優秀な成長株を正しいタイミングで買えれば、高配当株の配当収入を大きく上回る資産増加が期待できます。
ただし、それは「相場を正しく読めた場合」の話です。どの成長株が10年後に大きく育っているかを事前に当てるのは、プロでも難しいことです。成長株で10倍を狙うか、高配当株で着実に配当をもらうか。どちらも正解ですが、私は後者を選びました。理由は単純で、成長株で10倍を当てる自信がなかったからです。
高配当株には「株価がどうなっても、配当というリターンが続く」という安心感があります。相場が下がっても配当利回りが上がる分、追加購入のチャンスとして捉えられます。「下がったら嬉しい」と思えるかどうかが、長期投資を続けられるかどうかの分水嶺だと感じています。
5つの判断基準に照らして、自分に合う方を選ぶ。どちらが正解かは人によって異なります。大切なのは、迷ったまま選んだ投資先よりも、自分の目的と性格を理解した上で選んだ投資先の方が、長く続けられるということです。
まとめ:5つの判断基準
- ①目的:配当収入(インカム)が欲しいなら高配当株、資産最大化を狙うなら成長株
- ②時間・スキル:相場を追い続けられないなら、高配当株の「買ってほぼ放置」スタイルが合います
- ③精神的耐久力:含み損に配当なしで耐えられないなら、配当がクッションになる高配当株が向いています
- ④経験値:投資歴が浅いなら、まず高配当株で「投資の仕組み」を体感するのが合理的です
- ⑤枠の管理:「買ったら売らない」長期保有スタイルなら、高配当株の方がNISAの枠を効率的に使えます
迷ったら、高配当株と成長株を少しずつ試してみるのも一つの答えです。どちらかに全振りする必要はありません。自分の性格や状況は、実際に投資してみて初めてわかることも多いです。まず小さく始めて、自分がどちらのスタイルに向いているかを体感することが、長期的には最も合理的な進め方かもしれません。
……と書きながら、私は今日も高配当株を1銘柄追加してしまいました。今年の成長投資枠もほぼ使い切り、成長株を試す余地はどんどん減っています(笑)。でも後悔はしていません。配当が届くたびに正解だったと思えるので。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資方法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年5月18日時点の情報に基づいています。
クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。