増配サプライズが出やすい株の見分け方:決算前チェック5銘柄

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決算発表の翌日、+10%で始まった株を見ながら「この銘柄、なんで持ってなかったんだ……」という後悔。高配当株投資家なら誰もが経験したことのある「終わった後の気づき」です(私も今でも心が乱れます。。)。

ガチャを引く前に、当たりが出やすい台を選ぶ。今回のテーマはまさにそれです。実は「増配サプライズが出やすい銘柄には、事前に見抜ける共通パターン」があります。

GW明けから5月中旬にかけて、3月期決算企業の本決算発表ラッシュが始まります。今回はそのパターンを5条件に整理した上で、増配サプライズの期待できる銘柄を5本ピックアップしました。GW中にじっくり研究して、GW明けを準備して迎えましょう。

なぜ今年の決算で「増配サプライズ」が期待できるのか

2026年5月に集中する3月期本決算。今年が特別なのには理由があります。

多くの3月期決算企業は、2025年11月ごろの第2四半期決算(中間決算)時点でも保守的な通期ガイダンスを据え置いていました。その後も2月の第3四半期決算で「通期予想を維持」とした企業が多数ありましたが、実態は着実に上振れ傾向が続いていました。

2026年度の環境を整理すると、賃上げ継続による個人消費の底堅さ、5G・DX関連の設備投資需要拡大、電力インフラの更新投資加速などにより、設備工事・インフラ関連・生活サービス系の企業は業績が想定を上回るペースで推移してきました。

「保守的なガイダンス → 本決算での上振れ → 増配サプライズ」という流れは、2024年・2025年と同じパターンです。今年もこのシナリオが繰り返される可能性が高いと考えています。

増配サプライズを事前に見抜く5つの条件

私がスクリーニングで使っている5条件です。全部満たす必要はありませんが、3つ以上該当する銘柄は特に注目に値します

  1. 第3四半期の業績進捗率が75%以上:通期予想の75%以上を3Qで達成していれば、本決算での上振れ確率が高い。IFIS株予報の業績進捗ページで確認できます。
  2. 累進配当または連続増配5期以上のコミットあり:「減配しない・毎年増やす」と経営陣が明示しているほど、業績好調の年には確実に増配が出ます。中期経営計画の「株主還元方針」ページを確認してください。
  3. 配当性向が60%以下(増配余地がある):配当性向が低いほど「まだ増やせる余地がある」サイン。逆に80%超の企業は業績が上振れても増配ではなく内部留保を選ぶ傾向があります。
  4. 過去2〜3期の業績実績が毎回「会社予想超え」のパターンが続いている:保守的なガイダンスを毎回出す経営スタイルは、今回も上振れしやすい。過去の決算短信で「会社予想」と「実績」を比較してみてください。
  5. ニッチ市場でシェアが高く、業績が景気循環に左右されにくい:寡占的ビジネスモデルは景気に関わらず安定した収益を生み出し、配当の継続性が高い。中東情勢や金利変動にも耐性があります。

増配株の基本的な選び方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

中東リスク下でも輝く!決算で増配期待の5つのセクター

今回の5銘柄一覧

①②③は3月期決算でGW明けの本決算発表が注目点。④⑤は異なる決算サイクルですが、増配サプライズを出す体質を持つ成長銘柄として取り上げます。

銘柄名(コード)決算期株価配当利回り配当性向増配実績
きんでん(1944)3月期約6,000円2.0%40%前後10年超連続
クラフティア(旧・九電工)(1959)3月期約4,500円3.1%40%目標累進配当中
日本ケアサプライ(2393)3月期約1,850円3.2%45%前後10年+非減配
トーセイ(8923)11月期約1,630円3.4%35%目標5期連続
高速(7504)3月期約2,894円4.0%30%以上22期超連続

※株価・配当利回りは2026年4月29日時点の概算値。

①きんでん(1944):純利益37%増・上場来高値でも増配余地が残る関電系工事会社

【増配サプライズが期待できる理由】

きんでんは関西電力グループの電気工事会社で、電力インフラ・通信設備・空調設備の設置・保守を担います。2026年3月期は純利益が前期比37%増となる見通しで、この発表を受けて株価は上場来高値を更新しました。

業績を押し上げているのは、5G基地局の整備・電力スマートメーターの大規模更新・データセンター向け設備工事の増加です。これらの需要は2027〜2028年にかけても継続が予想されており、構造的な追い風が続くビジネス環境にあります。

会社側は通期予想を慎重に設定する傾向があり、過去も実績が会社予想を上回るケースが多い。今年の本決算(5月発表予定)でのさらなる上振れ+増配サプライズに注目しています。

【配当・財務の安定性】

2026年3月期の配当予想は1株あたり120円で、10年超の連続増配実績を持ちます。配当性向は40%前後と増配余地が十分。自己資本比率も電気工事業としては健全な水準を維持しています。

配当利回りは現在の株価(上場来高値水準)で約2.0%と低めですが、純利益が大幅に伸びたことで配当性向を維持したまま増配できる「余力」が生まれています。本決算での増配発表があれば、利回り水準も改善します。

【リスク・懸念点】

①現在の配当利回り(約2.0%)は本記事の選定基準(2.5%以上)を下回っています。既に株価が大きく上昇しているため、本決算での増配発表が織り込み済みとなっているリスクがあります。

②電力・通信インフラ投資のサイクルは数年単位で波があります。2027年度以降に大型案件の受注が一巡した場合、業績の成長ペースが鈍化する可能性があります。

②九電工(1959):過去最高益更新・累進配当で「増やし続ける」姿勢を明示

【増配サプライズが期待できる理由】

九電工は九州電力グループの電気工事会社です。きんでんが関西圏を主力とするのに対し、九電工は九州・沖縄を地盤にしながら全国展開しています。電気・空調・情報通信と工事種別が多岐にわたり、再エネ施設や半導体工場向け設備投資の恩恵を受けています。

2026年3月期は売上・利益ともに過去最高を更新する見通し。第3四半期時点でも進捗率は高水準を維持しており、本決算での上振れと追加増配が期待できます。

累進配当方針(配当性向40%を目安に段階的に引き上げ)を中期経営計画で明示している点が特に評価できます。業績が伸びれば配当が増える「仕組み」が内蔵されているのです。

【配当・財務の安定性】

2026年3月期の配当予想は1株あたり140円(前期比20円増配)で、配当利回りは3.1%前後。配当性向目標40%に向けて段階的に引き上げが続いており、今後数期にわたって増配継続が期待できます。

九州・沖縄の半導体工場建設ラッシュ(TSMCの熊本工場周辺を含む)が受注基盤を支えており、2027〜2028年にかけても工事案件の見通しは明るい。財務は安定しており、借入依存度も低い水準を維持しています。

【リスク・懸念点】

①九州・半導体依存のリスク:TSMCの生産計画変更や地政学的な半導体サプライチェーンの混乱が起きた場合、関連工事の受注が減少するリスクがあります。

②人件費・材料費の高騰:建設業全般の課題である職人不足・資材高騰が工事コストを押し上げる可能性があります。労務費の上昇が利益率を圧迫する局面も想定されます。

③日本ケアサプライ(2393):福祉用具レンタルの三菱商事系ディフェンシブ増配株

【増配サプライズが期待できる理由】

日本ケアサプライは三菱商事系の福祉用具レンタル卸商社です。介護施設や在宅ケア利用者が使う電動ベッド・車いす・歩行器などを、全国の福祉用具貸与事業者にレンタルする「B2Bの卸」ビジネスを展開しています。

事業の特徴は高齢化社会の構造的な追い風です。日本の高齢者数は毎年増え続けており、介護保険制度が続く限り需要は安定的に拡大します。景気サイクルや中東情勢に左右されにくい「必需品」のビジネスです。

2026年3月期は経常利益が前期比6.6%増の見通しで、3Qまでの進捗は順調。保守的なガイダンスが多い会社として知られており、本決算での上振れと連動した増配に期待できます。

【配当・財務の安定性】

配当利回りは3.2%前後で、配当性向は45%前後と安定的。三菱商事グループの一員として財務規律が厳格であり、無理な配当引き上げではなく「業績に連動した安定的な増配」が続いています。

時価総額は約200億円台の中小型で、機関投資家の視野に入りにくい「穴場銘柄」です。業績に比して株価が割安に放置されている面もあり、決算での増配発表が株価再評価の引き金になりやすい構造にあります。

【リスク・懸念点】

①介護保険制度の報酬改定リスク:政府による介護報酬の見直しが行われると、需要量や事業者の経営に影響が出ます。2024年改正での選択制導入の影響が2026年度に顕在化するリスクがあります。

②流動性リスク:時価総額200億円台の中小型株のため、売買ボリュームが薄い局面もあります。急いで大量に売買しようとすると、価格が大きく動く可能性があります。

④トーセイ(8923):5期連続増配・不動産再生で過去最高益更新中の中小型成長株

【増配サプライズが期待できる理由】

トーセイは不動産の再生・開発・賃貸・管理・ファンド事業を手がける首都圏の中小不動産会社です。「割安不動産を買い取り → リノベーションして売却または賃貸」という再生モデルが主力で、景気に合わせた柔軟な仕入れ・販売が強みです。

2025年11月期は4期連続で過去最高益を更新(売上高15.2%増、営業利益20.8%増)し、2026年11月期も売上高29.9%増という大幅な成長を予想しています。「毎年最高益を更新しながら毎期増配する」というパターンが確立されており、次の本決算(2026年11月)でも増配が見込まれます。

3月期ではないため、GW明けの決算ラッシュとは直接関係しません。しかし「増配サプライズを出す体質を持つ中小型株」として、GW中に腰を据えて調べておく価値があります。

【配当・財務の安定性】

2026年11月期の配当予想は1株あたり55円で、配当利回りは3.4%前後。5期連続増配を達成済みで、中期経営計画では配当性向を2026年度末に35%以上に引き上げる方針です。現在の配当性向(35%程度)はまだ低く、業績が伸びれば追加増配の余地があります。

時価総額は約1,400億円で、中型株の範囲内。東証プライム上場ながら大型株と比べて流動性は控えめで、決算での好材料が株価に素直に反映されやすい特徴があります。

【リスク・懸念点】

①金利上昇リスク:不動産業は借入を活用してビジネスをするため、日銀が6月以降に利上げした場合、調達コストが上昇します。金利敏感セクターとして銀行系高配当株より価格変動が大きくなりやすいです。

②首都圏不動産市場の過熱・調整リスク:仕入れ価格の高騰が続いており、再生モデルの収益性が将来的に圧縮される可能性があります。不動産市場は景気サイクルの影響を受けやすく、経済環境が急変した場合のリスクは他業種より大きくなります。

⑤高速(7504):食品容器「縁の下の力持ち」、22期連続増配+60周年記念で今期は配当2倍超

【増配サプライズが期待できる理由】

「高速」という社名が覚えにくいのですが、仙台市に本社を置く食品包装資材の専門商社です。スーパーやコンビニの弁当容器、食品トレー、ラップフィルム、段ボール——食品が流通する現場に欠かせない包装資材を全国の食品メーカーや流通業者に卸しています

「食べる」という行為は景気に関係なく続くため、この事業は極めてディフェンシブです。2026年3月期の第3四半期時点では、売上高前年同期比8.2%増・営業利益同8.8%増と順調に増収増益を継続しており、本決算での通期予想達成が現実的な水準です。

さらに注目すべきは今期の特別要因です。2026年3月期は同社の創立60周年にあたり、普通配当56円に「創立60周年記念配当60円」を加算した合計116円の配当を予定しています。前期(54円)と比較すると2倍超という驚異的な増額です。

【配当・財務の安定性】

2026年3月期予想年間配当116円に対し、配当性向は30.14%と極めて低い水準。「増配余地がある」という条件に最も適合している銘柄のひとつです。22期連続増配という長期実績も持っており、株主還元への強いコミットメントが明確です。

自己資本比率は65.0%で財務も健全。時価総額は535億円程度と中型株で流動性も確保されています。配当利回りは4.5%前後(2026年4月時点)と、連続増配株の中では高い部類に入ります。

【リスク・懸念点】

①今期の「記念配当」は一時的なもの: 116円のうち60円は60周年記念配当です。来期(2027年3月期)以降は記念配当がなくなるため、普通配当56〜60円程度に戻る見込みです。「今期の高利回りが来期も続く」とは考えないことが重要です。

②食品メーカー・流通の設備投資縮小リスク: 景気後退局面では取引先の包装資材への発注が減少する可能性があります。食品需要自体は底堅いものの、包装コストの削減圧力には晒されやすい事業構造です。。

まとめ:GW明けの決算を「後悔の日」から「収穫の日」に変えよう

5銘柄の「増配サプライズ期待度」を一言で:

  1. きんでん(1944):純利益37%増・上場来高値から本決算でのサプライズ増配へ。利回りは低いが増配余力が大きい。
  2. 九電工(1959):九州の設備工事ラッシュを追い風に最高益更新。累進配当方針×3.1%利回りのバランスが魅力。
  3. 日本ケアサプライ(2393):高齢化社会に乗る三菱商事系のディフェンシブ増配株。時価総額200億円台の穴場感あり。
  4. トーセイ(8923):不動産再生で最高益更新が続く。5期連続増配の実績と29.9%増収予想の組み合わせ。
  5. 高速(7504):食品容器という地味な「生活インフラ商社」が22期連続増配を継続。60周年記念で今期は配当2倍超という一発花火あり。

毎年「決算後に気づいて慌てる」を繰り返してきた私が言うのも説得力がないですが、GW中にこれらを調べておくことで、GW明けの決算ラッシュを「待ち構える側」として迎えられます。

…と偉そうに書きながら、私は毎年「増配発表後に気づいて慌てて買う」パターンを繰り返しています。今年こそ事前に準備したいものです(笑)。

配当利回りだけで銘柄を選ぶ際の落とし穴については、こちらで詳しく解説しています。

配当利回りランキングの罠と正しい選び方


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年4月29日時点の情報に基づいており、株価・配当利回りは変動します。


運営者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産3,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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