円安でも円高でも負けない高配当ポートフォリオの作り方

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4月30日の夜、スマホを見たら円が5円動いていました。政府・日銀が5〜6兆円規模の円買い介入を実施したのです。介入前は1ドル=160円台後半——1年9か月ぶりの円安水準。そこから5時間で155円台まで約5円の急変動。「円安が続く」と思っていたポジションが一夜で揺らいだ方もいたでしょう。

為替介入のニュースを見て、「自分のポートフォリオ大丈夫か?」と感じた方は少なくないはずです(私もそっとスクリーンを確認しました。笑)。でも、ここで大事なことを一つ言わせてください。円安か円高かを予測しようとするのは、プロのエコノミストでも外れ続けるほど難しい。

ならばどうするか——答えは「どちらに動いても配当収入が安定して入ってくる設計を作る」ことです。今回は、為替感応度の異なる3タイプの銘柄を組み合わせる実践的な方法を整理します。

円安・円高、それぞれ恩恵を受ける銘柄タイプ

まず前提として、為替変動が株価・業績に与える影響はセクターによって大きく異なります。以下の3タイプに整理すると、設計がシンプルになります。

タイプ代表的な業種円安時円高時
円安恩恵型輸出製造業・商社・海運↑ 利益増(海外売上が円換算増)↓ 利益減
円高恩恵型電力・ガス・食品・航空↓ 燃料・原材料コスト増↑ 輸入コスト減で利益改善
為替中立型通信・鉄道・インフラ・内需サービス影響小影響小

3タイプをバランスよく組み合わせることで、為替の方向に関わらず安定した配当収入が期待できるのが、このアプローチの核心です。

連休前に保有株の為替感応度を点検する手順については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

GW前に必ずやっておく!保有株の点検リスト5項目

円安が追い風になる高配当株

円安恩恵型の代表格は総合商社です。商社は資源・エネルギー・食料などを海外で調達・販売するビジネスモデルで、海外の持分利益が大きい分、円安は円換算での利益押し上げ要因となります。

例えば三菱商事(8058)の配当利回りは約2.4%(2026年4月末時点)。主要5大商社はいずれも安定した累進配当・自己株買いの方針を持っており、円安局面での業績改善が配当引き上げにつながりやすい特性があります。同様に伊藤忠商事(8001)も非資源分野(食品・繊維・小売)の比率が高く、円安の追い風を受けつつ、内需型のリスクヘッジも備えています。

商社以外では、機械・電気機器系の輸出製造業も円安恩恵型の代表格です。海外売上比率が高い企業ほど、円安時に為替換算益が積み上がります。

注意点:円安恩恵型は円高に転じた際の利益下押しリスクも大きいため、ポートフォリオ全体の25〜35%程度を目安に組み入れるのが無難です。「全部商社株」にすると円高局面で配当収入が想定を下回るリスクがあります。

円高が追い風になる高配当株

円高恩恵型の筆頭は電力会社です。電力会社はLNG(液化天然ガス)・石炭・石油を大量に輸入して発電しており、円高になると燃料調達コストが下がり、利益率が改善します。

関西電力(9503)の配当利回りは約2.8%(2026年4月末時点)。原子力発電の再稼働が進んでいる関西電力は、燃料コスト低下の恩恵と再稼働による発電コスト削減の両面で収益改善が期待できます。同様に中部電力(9502)も配当利回り2.9%前後で、燃料費調整制度の特性上、円高時の恩恵が業績に反映されやすい構造です。

円高メリット銘柄には食品・小売(輸入原材料コスト低下)や航空(燃料費の削減)も含まれますが、高配当という観点では電力会社が最も配当利回りと円高効果のバランスが取れています。

注意点:電力株には規制・政策変更リスクがあります(電気料金規制、再エネ賦課金の変更など)。また、円安に転じれば燃料コスト増で業績が下振れるため、ポートフォリオの25〜35%程度に留め、円安恩恵型と拮抗させる比率が基本です。

為替に左右されにくい安定高配当株

ポートフォリオの「軸」となるのが為替中立型です。売上・コストともに国内完結型のビジネスを持つ企業は、円安でも円高でも業績への影響が限定的です。

NTT(9432)はその典型例です。国内の固定・移動体通信事業が主体で、配当利回りは約3.5%(2026年4月末時点)。2024年度から1株25円への大幅増配方針を維持しており、長期保有向きの為替中立型高配当株として定評があります。累進配当方針を採用しており、「いつ買っても配当が増え続ける」という安心感があります。

JR東日本(9020)も為替中立型の代表格です。鉄道・Suica・ホテルなど事業の大部分が国内完結で、海外売上比率は極めて低い。訪日外国人の増加(インバウンド)が追い風になりつつも、為替変動そのものへの感応度は低く抑えられています。

通信・鉄道・高速道路・インフラ系のセクターは、業績変動が小さく配当の安定性が高いため、ポートフォリオの核(35〜50%)として組み入れると全体の安定度が大幅に上がります。

実際にどう組み合わせるか

3タイプを組み合わせる際の比率イメージを示します。自分のリスク許容度・為替観に応じて調整してください。

スタイル円安恩恵型円高恩恵型為替中立型特徴
保守型25%25%50%為替の方向に関わらず安定重視
バランス型(標準)30%25%45%多くの個人投資家の落とし所
積極型40%20%40%ある程度の為替観を持ちたい人向け

重要なのは、「為替予測を当てる」ことより「どちらに転んでも配当収入が大きく落ちない」設計が目標であることです。私自身、80銘柄超の保有の中でこの3タイプの分散を意識しており、円安・円高どちらの局面でも「配当は入ってくる」状態を維持することを優先しています。

新NISAの非課税枠(成長投資枠:年間240万円)を活用して長期保有を前提にする場合、短期の為替変動に一喜一憂しない設計が特に重要です。「今年の為替は円安か円高か」を考えるより、「5年後・10年後に配当が安定して入ってくる設計か」で銘柄を選ぶ視点が、長期の資産形成に向いています。

まとめ

円安恩恵型(商社・輸出系)は為替が追い風になれば業績・配当が改善しやすい一方、円高転換時のリスクを抱えます。円高恩恵型(電力・内需型輸入業)は円安局面でコスト増が重くなります。為替中立型(通信・鉄道・インフラ)はどちらの局面でも安定した業績・配当を期待できます。

この3タイプを「保守型なら中立50%」「バランス型なら中立45%」という比率イメージで組み合わせれば、為替の方向を当てなくてもポートフォリオとして機能します。「傘を持って出かければ、晴れても雨でも困らない」——そのくらいの感覚でいいと思います。

……と書きながら、私は為替介入の翌日もドル円チャートを30分見続けていました。傘を持ちながらも空を見上げてしまうのが個人投資家のサガです(笑)。

財務が盤石で為替耐性の高い高配当株の選び方については、こちらもご参考に。

【2026年4月版】鉄壁ディフェンス株5選:中小型ニッチ厳選


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年5月6日時点の情報に基づいており、株価・配当利回りは変動します。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産3,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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