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唐突ですが、私は現在80銘柄以上の高配当株を保有しています。スクリーンを見るたびに増えていて、自分でも少し引いています(笑)。最終的には100銘柄を目指しているのですが、これを投資仲間に話すと大抵「多すぎる」と言われます。一方で、5銘柄に絞っている投資家の話を聞くと「管理が楽で迷いがなくなった」という声もあります。
「何銘柄持てばいいか」は、投資家なら誰もが一度は悩む問いです。そして残念ながら、万人共通の「正解」は存在しません。ただ、トレードオフを正しく理解すれば、自分のスタイルに合った答えは出せます。今回はリスク・管理コスト・単元未満株の活用という3つの切り口で、この問いを整理してみます。
銘柄を絞るメリットとリスク(〜10銘柄)
「少数精鋭」派の最大のメリットは、各銘柄を深く理解できることです。10銘柄以下であれば、四半期ごとの決算書・IR資料を丁寧に読み込み、事業の実態や配当の安定性を自分の目で確かめることができます。管理もシンプルで、損益確認・配当入金の把握・売買判断すべてを素早く行えます。
一方でデメリットも明確です。1銘柄の暴落・減配インパクトが直撃する点です。例えば10銘柄均等保有の場合、1銘柄が-50%になると、ポートフォリオ全体で-5%の損失になります。また、1銘柄が減配すれば配当収入全体の10%が消えます。これは心理的に堪える数字です。さらに、業種・セクターが自然と偏りやすく、特定テーマの逆風を受けやすいという点も覚えておく必要があります。
少数銘柄派は「選ぶ目」が問われるスタイルです。銘柄を外したときのダメージが大きい分、分析力と判断力への要求が高い戦術と言えます。
銘柄を増やすメリットとコスト(30〜100銘柄)
多銘柄保有の最大のメリットは個別リスクの大幅な低下です。100銘柄均等保有なら、1銘柄が-50%になっても全体への影響はわずか-0.5%。1銘柄が減配しても配当収入全体への影響は1%以下です。「あの銘柄が暴落・無配転落しても大丈夫」という精神的な安定は、長期投資を続けるうえで想像以上に大切です。
業種・セクターの自然分散も副次的なメリットです。30〜50銘柄も保有すれば、製造業・金融・インフラ・通信など複数セクターに自然と広がり、特定業界の下落に対する耐性がつきます。
ただし正直に認めておくことがあります。銘柄数がある程度を超えると、動きが事実上インデックスに近づきます。「それなら最初からインデックスファンドでよくないか」という批判は理論的に正しい。それでも個別株を選ぶ理由があるとすれば、配当金が口座に振り込まれる実感・銘柄分析の楽しさ・インデックスに含まれない小型高配当株にアクセスできる点——あたりになります。これは「効率性」よりも「体験」を重視するスタイルです。
配当利回りだけで銘柄を選ぶ際の落とし穴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
銘柄が増えると何が大変になるか
80銘柄を保有している立場から、管理コストの実態を正直に書きます。
決算チェック:3月期企業なら毎年5月に大量の決算発表が集中します。全銘柄を丁寧にチェックしようとすると、GW返上の勢いで作業することになります。「全部読む」から「業績が悪化した銘柄だけ深読みする」という運用に切り替えないと、時間がいくらあっても足りません。
配当入金管理:銘柄ごとに配当入金日・金額が異なります。80銘柄あると、ほぼ毎月どこかから配当が振り込まれる状態になりますが、管理ツール(証券会社のアプリ・Excelシート)なしでは把握が困難です。「今月いくら配当が入ったか」を瞬時に答えられる状態を保つには、それなりの仕組みが必要です。
損益把握:80銘柄の含み損益を自分で計算するのは非現実的です。証券会社のポートフォリオ機能に頼ることになりますが、複数の証券口座にまたがっている場合は集計が煩雑になります。
税務:特定口座(源泉徴収あり)なら証券会社が計算してくれますが、複数口座・NISA口座との損益通算を考え始めると、確定申告の難度が上がります。
心理的コスト:銘柄数が多いほど「あの銘柄大丈夫か」と気になる銘柄が増えます。これは慣れれば薄れますが、投資を始めたばかりの段階でいきなり50銘柄を持つと、不安が先行してしまいます。
結論として、「管理コストをどこまで許容できるか」が銘柄数を決める重要な軸のひとつです。管理が苦痛になれば投資継続のモチベーション自体が下がります。
100銘柄に近づくための現実的な方法:単元未満株
多銘柄保有を実現するうえで見逃せないのが、単元未満株の存在です。日本株は原則100株単位での売買(1単元)が基本です。たとえばトヨタ(7203)なら1株約3,600円 → 100株で約36万円、キーエンス(6861)なら1株約65,000円 → 100株で650万円が必要になります。80〜100銘柄を単元株で揃えようとすれば、数千万円以上の資金が必要になる計算です。
単元未満株とは、1株単位から売買できる仕組みです。資金が少なくても多銘柄保有を実現できる、個人投資家にとって現実的な選択肢です。
主要証券会社のサービス内容(2026年5月時点)をまとめました:
| 証券会社 | サービス名 | 通常手数料 | リアルタイム取引 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | S株 | 無料(0円) | ❌(寄付取引のみ) |
| 楽天証券 | かぶミニ | 寄付:無料 リアルタイム:スプレッド0.22% | ⭕(指値注文も可) |
| マネックス証券 | ワン株 | 買付:無料 売却:0.5%(最低52円) | ❌(寄付取引のみ) |
| 三菱UFJ eスマート証券 | プチ株 | 0.55%(最低52円) | ❌(寄付取引のみ) |
※手数料・サービス内容は変更される場合があります。必ず各社の公式ページでご確認ください。
単元未満株の注意点:
- 手数料は証券会社・銘柄・金額によって異なる。
- 株主優待は100株未満の場合、多くの銘柄で受け取れない(配当は受け取れる)
- 指値注文・リアルタイム取引ができない証券会社が多い(楽天のかぶミニは例外)
クアットの実践的な使い方:私が単元未満株を使う最大の理由は「まず1株だけ買って様子を見る」という使い方ができる点です。気になる銘柄をいきなり100株買う必要がないので、失敗してもダメージが小さい。配当が少額でも「実際に振り込まれる」体験が投資継続のモチベーションになります。新NISAの成長投資枠(240万円/年)を使えば少額でも非課税で積み上げられ、特にSBI証券のS株(手数料無料)や楽天証券のかぶミニは、コストを抑えながら分散投資の入り口として活用しやすいです。
結局、何銘柄が正解なのか
「自分が許容できる管理コスト」と「自分が許容できないリスクの大きさ」から逆算するのが最も合理的なアプローチです。投資家のタイプ別に整理してみます。
タイプA|管理を楽にしたい(10〜20銘柄):各銘柄をしっかり理解して、決算・配当・事業の変化を自分で追える人向け。管理コストは最小だが、1銘柄の減配・暴落が直接響く。分析力に自信があり、銘柄を厳選できる人に向いています。
タイプB|バランス型(30〜50銘柄):業種分散しつつ、管理できる範囲に収める。多くの個人投資家にとって現実的な落とし所です。セクター別に5〜10銘柄ずつ持つイメージで、1銘柄の影響を抑えながらも過度な管理コストを避けられます。
タイプC|クアット型(80〜100銘柄以上):管理コストを許容して個別リスクを極限まで下げる。単元未満株を活用して少額から積み上げる。「個別株のインデックスを自作する」くらいの感覚で、管理自体を楽しめる人向きです。妻には「また増やしたの?」と呆れられます(笑)。
どれが正解かではなく、自分のライフスタイル・可処分時間・資金規模に合わせて選ぶ——それが最終的な答えです。
まとめ
少数銘柄は「深く理解できる・管理が楽」という強みがある一方、1銘柄の減配や暴落が直撃するリスクがあります。多銘柄保有は個別リスクを大幅に下げられる一方、管理コストとインデックス化というトレードオフを受け入れる必要があります。
単元未満株の手数料が実質無料に近づいた今、少額から多銘柄保有を実現することは以前より格段に現実的になりました。「まず1株」という入口から始めて、銘柄数を徐々に増やしていくアプローチは、初心者にも無理なく取り入れやすい方法です。
……と書きながら、私は今日もまた1銘柄追加しました。目標100銘柄まで、あと少しです(笑)。
財務が盤石で減配リスクの低い銘柄の選び方については、こちらもあわせてご覧ください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年5月4日時点の情報に基づいており、手数料等のサービス内容は変更される場合があります。
著者プロフィール
クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産3,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。