配当金の受け取り方法4種類を比較:NISAで損しない設定はどれか

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2026年9月28日は、9月末の権利付き最終日です。

2026年9月25日公開の記事では、権利落ち日に株価が本当に配当分だけ下がるのかを、2回・55社のデータで調べました。結論は、市場全体の動きを差し引けば、株価はだいたい配当分だけ下がっていたというものです。そのうえで、株価の下げより、口座の設定のほうが結果を左右する、と締めくくりました。

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偉そうにそう書いた以上、避けて通れない問いがあります。「で、自分の設定って何だっけ?」

配当金の受け取り方法は、口座を開いたときに一度選んだきり、という人も多いのではないでしょうか。株価は1日に何度も見るのに、配当の受け取り方は何年も見ていない、というのは株クラあるあるだと思います。

そこで今回は、配当金の4つの受け取り方法を、NISAの非課税と特定口座での損益通算を中心に比べました。読み終わったら、そのまま自分の設定画面を開いて確かめられるようにまとめています。

配当金の受け取り方法は4種類

上場株式の配当金(ETFやREITの分配金も含みます)は、次の4つの方法から受け取り方を選べます。仕組みは、証券保管振替機構(ほふり)の案内資料にまとめられています。

① 株式数比例配分方式

配当金を証券会社の口座で受け取る方法です。証券会社ごとに、その会社で持っている株数に応じて配当が入ります。同じ銘柄を2つの証券会社に分けて持っていれば、配当もそれぞれの口座に分かれて入ります。

② 登録配当金受領口座方式

持っているすべての銘柄の配当金を、あらかじめ指定した1つの銀行口座で受け取る方法です。複数の証券会社で株を持っていても、配当は同じ銀行口座に振り込まれます。

③ 個別銘柄指定方式

銘柄ごとに、振込先の銀行口座を指定する方法です。A社の配当は銀行X、B社の配当は銀行Y、というように分けられます。ほふりの資料では「単純取次ぎ方式」と呼ばれていて、名前は証券会社によって少しずつ違います。

④ 配当金領収証方式

発行会社から郵送されてくる配当金領収証を、ゆうちょ銀行などの窓口に持って行って現金に換える方法です。紙の領収証を握りしめて窓口に並ぶ、昔ながらの方式です。手続きは要りません。というより、受け取り方法を何も選んでいない人は、自動的にこの方式になります。

4つの方式を比べてみる

ここからが本題です。スマホでも読みやすいように、「税金まわり」「入金先と手間」「合いやすい人」の3つに表を分けました。

税金まわりの違い

方式NISA口座の配当特定口座(源泉徴収あり)の売却損との自動通算
株式数比例配分方式非課税される(同じ特定口座の中で)
登録配当金受領口座方式課税(約20%)されない
個別銘柄指定方式課税(約20%)されない
配当金領収証方式課税(約20%)されない
日本証券業協会・金融庁・証券保管振替機構・国税庁の公表資料をもとに作成。課税は20.315%の源泉徴収。自動で通算されない方式でも、確定申告をすれば通算できます。

入金先と手間の違い

方式配当の入金先手続き・手間
株式数比例配分方式証券口座証券会社1社に申し込めば、全銘柄に適用
登録配当金受領口座方式指定した1つの銀行口座証券会社1社に申し込めば、全銘柄に適用
個別銘柄指定方式銘柄ごとに指定した銀行口座銘柄ごとに、その株を預けている証券会社で手続き
配当金領収証方式ゆうちょ銀行などの窓口で現金受け取り手続きは不要。配当のたびに窓口へ
証券保管振替機構「配当金の受取方法のご案内」「配当金の受取方法に関するQ&A」をもとに作成。

合いやすい人

方式合いやすい人
株式数比例配分方式NISAで個別株・ETF・REITを持っている人。確定申告なしで損益通算したい人
登録配当金受領口座方式NISAで個別株などを持っておらず、配当を1つの銀行口座にまとめたい人
個別銘柄指定方式NISAで個別株などを持っておらず、銘柄ごとに入金先を分けたい人
配当金領収証方式窓口で受け取る手間が苦にならない人
制度上の違いから整理したもので、特定の方式を推奨するものではありません。

表を並べると、はっきりします。税金の面で違いが出るのは株式数比例配分方式だけで、ほかの3つの良さは、入金先を銀行口座にできる、何もしなくていい、といった使い勝手の面にあります。

NISAを使っている人が、必ず確認したいこと

いちばん大事なのはここです。日本証券業協会の説明では、NISA口座で買った上場株式の配当金を非課税にするには、証券会社で受け取る「株式数比例配分方式」にする必要があるとされています。金融庁の資料でも、ほかの3つの方式ではNISA口座で買った株式でも配当金は非課税にならないと説明されています。ETFやREITの分配金も同じ扱いです。

つまり、NISA口座で高配当株を買っていても、受け取り方法が銀行口座や郵便局のままだと、配当には普通に税金がかかります。NISAで買ったのに、配当だけ非課税になっていない、ということが起こりえます。

具体的な数字で見てみます。上場株式の配当には、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。

株式数比例配分方式それ以外の3方式
配当金(税引前)10,000円10,000円
源泉徴収される税金0円2,031円
手取り10,000円7,969円
NISA口座で保有する株式の配当金1万円の場合。税率20.315%で計算した概算。

配当1万円なら、約2,000円の差です。成長投資枠の年間上限240万円を、配当利回り4%の銘柄で使い切ったとすると、配当は年9万6,000円で、差は年に約1万9,500円になります。

やっかいなのは、この差が気づかないうちに毎年続くことです。配当は税金が引かれたあとの金額で入ってくるので、入金額を見ただけでは、非課税になっていないことに気づきにくいです。

なお、NISA口座で買った株式投資信託の分配金は、この手続きがなくても非課税で受け取れます。対象になるのは、個別株・ETF・REITです。

特定口座の人にとっての違い

NISAを使っていない人や、NISAの枠の外で特定口座でも株を持っている人にとっては、損益通算の違いがポイントになります。権利落ちを検証した記事の税金の章で触れた話を、もう少し詳しく見ていきます。

株式数比例配分方式にしていて、配当を特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている場合、同じ特定口座の中で出た株の売却損と、確定申告をしなくても自動で損益通算されます。ほふりの案内資料にも、国税庁の説明にも、この仕組みが書かれています。

たとえば、同じ年に配当を10万円受け取り、同じ特定口座で株を売って10万円の損が出たとします。この場合、差し引きの利益はゼロになるので、配当から引かれていた約2万円の税金は、通算によって戻ってきます。

一方で、ほかの3つの方式では、配当は特定口座に入りません。そのため自動では通算されず、通算したいなら確定申告が必要です。何もしなければ、売却損が出ていても、配当の税金は引かれたままになります。

注意点を2つ挙げておきます。

・自動で通算されるのは、同じ特定口座の中だけです。A証券の特定口座で受け取った配当と、B証券の特定口座で出た売却損は、自動では通算されません。
・国税庁の説明では、この自動の通算は、配当を源泉徴収ありの特定口座に受け入れる届出をしていることが前提になっています。配当がどの口座区分に入っているかは、証券会社の配当金の入金履歴などで確かめられます。

なお、配当控除を使うために配当を確定申告する場合は、どの方式が合うかの考え方が変わってきますが、ここでは深入りしません。

自分の設定を確認・変更する手順

まずは今の設定を確認する

多くのネット証券では、ログイン後の口座情報や各種設定のメニューに、「配当金受取方法」「配当金受領サービス」といった名前の項目があります。そこを開くと、ほふりに登録されている今の方式が表示されます。

画面を開いたら、次の2点を見てみてください。

・NISA口座で個別株・ETF・REITを持っているなら、株式数比例配分方式になっているか
・特定口座(源泉徴収あり)で売買していて、確定申告なしで損益通算したいなら、同じく株式数比例配分方式になっているか

なお、個別銘柄指定方式は銘柄ごとの手続きなので、証券会社によっては画面に表示されないこともあります。

変更するときに知っておきたいこと

・1社で申し込めば、すべての証券会社に反映されます。株式数比例配分方式と登録配当金受領口座方式は、ほかの証券会社で持っている銘柄も含め、すべての銘柄に適用されます。ほかの方式との併用はできません。
・逆に言えば、ある証券会社で設定を変えると、別の証券会社の設定も書き換わります。たとえば、配当を銀行口座で受け取っていた人が、別の証券会社で株式数比例配分方式を選ぶと、すべての配当の入金先が証券口座に変わります。
・個別銘柄指定方式の手続きは、その銘柄を預けている証券会社で、銘柄ごとに行います。株式数比例配分方式や登録配当金受領口座方式とは併用できません。
・信託銀行などの特別口座に株が残っていると、株式数比例配分方式は使えません。株券を持ったまま電子化を迎えた場合などに作られる口座で、先に特別口座を閉じる手続きが必要です。
・複数の証券会社で登録している名前や住所が一致していないと、変更がエラーになることがあります。

締め切りと、いつから反映されるか

ほふりのQ&Aによれば、株式数比例配分方式で配当を受け取るには、権利確定日(配当基準日)までに、申し込みの内容が証券会社を通じてほふりに届いている必要があります。間に合わなければ、新しい方式で受け取れるのは次の権利確定分からになります。申し込みにかかる日数は証券会社によって違う、とも書かれています。

実際に、主なネット証券3社の公式ヘルプを確認しました。締め切りは証券会社によって異なり、確認した範囲では「権利確定日の2営業日前」の午後から夜が目安になっていました。ただし、締め切りの日時を示さずに「ほふりでの登録完了までに数日かかるので、余裕をもって」と案内している会社や、手続きのあと、ほふりでの更新完了まで通常3〜4営業日かかる、としている会社もありました。

2026年9月末の権利確定日は9月30日(水)です。この9月末の権利確定分は、確認した範囲では9月28日(月)の午後〜夜が締め切りの証券会社があります。9月分に間に合わせたい場合は、ご自身の証券会社のヘルプで締め切りを確認してください。間に合わなかった場合は、次の権利確定分(12月・3月など)から反映されます。

それぞれ、どんな人に合いやすいか

最後に、方式ごとに合いやすい人を整理します。どれが正解というより、自分の口座の使い方と設定が合っているかどうかが大事だと私は考えています。

株式数比例配分方式
NISAで個別株・ETF・REITを持っている人にとっては、配当を非課税にするための条件なので、事実上この方式しか選択肢がありません。特定口座(源泉徴収あり)で売買していて、確定申告の手間をかけずに損益通算したい人にも合いやすい方式です。配当が証券口座に入るので、次の買付けに回しやすいのも特徴です。

登録配当金受領口座方式
NISAで個別株などを持っておらず、複数の証券会社の配当を、生活費用の銀行口座にまとめて入れたい人には合いやすい方式です。ただし、あとからNISAで株を買った場合、その配当は非課税にならない点には注意が必要です。

個別銘柄指定方式
銘柄ごとに入金先を分けたい、という管理のこだわりがある人向けです。手続きが銘柄ごとになるので、持っている銘柄が多いほど手間は増えます。NISAの配当が非課税にならない点は、登録配当金受領口座方式と同じです。

配当金領収証方式
何も手続きをしていない人は、この方式です。窓口に行く手間がかかるうえ、NISAの非課税も、特定口座での自動の損益通算も使えません。その代わり、「配当をもらった」という実感は、4つの中でいちばん強いかもしれません。

まとめ:株価は読めなくても、設定画面は読めます

配当金の受け取り方法は4種類ありますが、NISAの配当が非課税になるのは株式数比例配分方式だけです。特定口座で確定申告なしに損益通算されるのも、この方式だけでした。ほかの3つは、入金先や手間の面で選ぶ方式です。

権利落ちの検証記事では「株価の下げより、口座の設定のほうが結果を左右する」と書きました。株価の動きは、私が予想してもよく外れます。一方で、設定画面は、開けば答えがそのまま書いてあります。予想の打率に自信がない身としては、確実に当たる作業があるのはありがたい限りです。

9月末の分に間に合うかどうかは証券会社しだいですが、12月・3月の権利確定はすぐにやって来ます。権利付き最終日の9月28日、株価の画面を見るついでに、配当の受け取り方法の画面も一度開いてみてはいかがでしょうか。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品や証券会社を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。制度の説明は、2026年9月時点の日本証券業協会・金融庁・証券保管振替機構・国税庁の公表資料と、主要ネット証券の公式ヘルプに基づく一般的な内容で、個別の状況により取り扱いが異なる場合があります。受け取り方法の変更の締め切りや手続きは、お取引のある証券会社でご確認ください。税額は20.315%の税率による概算で、配当控除などは考慮していません。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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