配当金は再投資すべきか、使うべきか:私が通貨で使い道を分ける理由

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7月です。特に前月は証券口座に、配当の入金通知が次々と届く季節だったのではないでしょうか。「〇〇株式会社より配当金が入金されました」——この通知が並ぶのを見るのは、高配当株投資家にとって、一年で最も心が弾む瞬間のひとつではないでしょうか。

さて、この配当金。「再投資して複利を効かせるのが正解」と、よく言われます。投資の教科書にも、たいていそう書いてあります。ところが、正直に告白すると、私は配当を全部は再投資していません。それどころか、一部はあえて使っています。「せっかくの配当を使うなんて、もったいない」と思われるかもしれません。でも、そこには私なりの理由があります。今日は、私が配当をどう使い分けているのかを、正直にお話しします。

たしかに、配当再投資は強い

まず、公平のために、定説の側をきちんと認めておきます。配当再投資が強力なのは、まぎれもない事実です。

受け取った配当で、さらに同じ株を買い増す。すると翌年は、その買い増した分からも配当が生まれます。雪だるまが転がりながら大きくなるように、配当が配当を生む複利の力が働きます。とくにNISAの非課税メリットと組み合わせると、税金で目減りしない分、再投資の効率はさらに高まります。この複利は、時間をかけるほど加速し、10年、20年という単位で見れば、受け取るだけの場合と大きな差になります。これは否定しようのない事実であり、私も否定するつもりはまったくありません。

配当を再投資し続けると具体的にどれくらい増えるかは、こちらの記事でシミュレーションしています。

新NISAで”配当再投資”を10年続けたらいくらになる?

それでも、私は配当を全部は再投資しません

複利の力を認めたうえで、それでも私は全部は再投資しないという選択をしています。ここが、今日の話の転換点です。

理由は、私が「インデックス投資×高配当株投資」の二刀流だからです。この2つは、似ているようで、目的がまったく違います。インデックス投資は、「将来の自分へのプレゼント」です。だから、ほったらかしにして、複利を最大化するのが正解です。ここは、教科書通りに徹します。

一方、高配当株投資の目的は違います。私にとって高配当株は、「今の自分への還元」です。今の生活を、少しだけ豊かにしてくれる実感——それこそが、高配当株を持つ意味だと考えています。もし配当を全部再投資してしまったら、その「実感」はいつまでたっても得られません。数字が増えていくのを、ただ画面越しに眺めるだけです。それでは、インデックス投資と何も変わりません。配当は、いつか使うためにもらっている——私は、そう考えています。だからこそ、一部は再投資せず、使うことにしているのです。

私の配当の使い分け:ドルは未来へ、円は今へ

では、具体的にどう使い分けているのか。私の方法は、「通貨」で分けるというものです。ドル建ての配当と、円建ての配当で、扱いをまったく変えています。

まず、ドル建ての配当(米国の高配当ETFなどから受け取るもの)は、円に換えずに、そのまま再投資します。理由は、将来的にドル建ての資産を増やしておきたいからです。今は歴史的なドル高の局面ですが、それでも私は、構造的に円は今後も徐々に価値を下げていくのではないか、と考えています。実際、円の実質実効為替レートは、長期的に見て大きく低下してきました。ただし、これはあくまで私個人の見立てであって、為替の先行きは誰にも正確には読めません。断定はできません。それでも私は、ドルはドルのまま複利で育てることを選んでいます。これは「将来の自分」への投資です。

一方、円建ての配当——だいたい月3万円ほどになりますが、これは、ここ2年、あえて使っています。きっかけは、家族ができたことでした。具体的には、月に1回、家族での少し贅沢な外食に。そして、年に数回の国内・海外旅行の資金に充てています。もちろん、相場が下げた局面での買い増しは、別途、余剰資金でしっかりやります。でも、円建ての配当そのものは、再投資せずに使う。これは「今の自分と家族」への還元だと、はっきり位置づけています。

配当を使うと、家族が投資を「味方」してくれる

実は、円建ての配当を使うようになって、思いがけない収穫がありました。それは、家族が投資のありがたみを理解してくれるようになったことです。これは、複利のリターン以上に価値があったと感じています。

配当で家族と少し良いレストランに行くとき、私はこう言えるのです。「これはね、株たちが働いて生んでくれたお金だよ」と。すると、これまで数字の上だけの、どこか他人事だった投資が、目の前の美味しい料理や、家族の笑顔という、手触りのあるものに変わります。「投資=なんだか怖いもの、ギャンブルのようなもの」という漠然としたイメージが、「私たちの生活を豊かにしてくれるもの」へと、少しずつ書き換わっていくのです。

かつては投資にまったく無関心だった家族が、最近では「あの銘柄、最近どうなの?」と、向こうから聞いてくれるようになりました。これは、私にとって本当に大きな変化です。長期投資は、家族の理解があるかないかで、続けやすさがまるで違います。配当を使うことは、単なる消費ではありません。家族という、最強の応援団をつくるための投資でもあるのです。

再投資か、消費か。二刀流なら、両方でいい

今日お伝えしたかったのは、シンプルなことです。配当の使い道は、「再投資か、消費か」という二者択一ではない、ということです。

二刀流なら、通貨で分ければいい。ドル(将来の自分)は再投資し、円(今の自分と家族)は使う。将来の自分には、インデックスと再投資でしっかり備える。そして、今の自分と家族には、高配当の配当でその果実を味わってもらう。この両立ができるのが、二刀流の面白いところだと思っています。全部を再投資しなくても、罪悪感を持つ必要はありません。配当を使って得られる家族の笑顔もまた、立派な「投資のリターン」なのですから。

さて、あなたは、配当を何に使いますか。全部再投資して未来に賭けるのも、一部を使って今日を豊かにするのも、どちらもあなたの正解です。よかったら、次に配当が入金されたとき、少し考えてみてください(ちなみに私の独身時代の配当は、その大半がラーメン代に消えていました。あれはあれで、幸せな使い道だったと思っています)。

私がインデックスと高配当株の二刀流にたどり着いた理由は、こちらで詳しく書いています。

インデックス投資と高配当株投資、両方やっている私が本音で語る【なぜ”二刀流”なのか】


※本記事は情報提供および筆者個人の経験・見解を目的としており、特定銘柄や投資手法、為替の見通しを推奨・保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年7月13日時点の情報に基づいています。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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