「夏枯れ相場」はもう幻想か:夏も上がる相場で二刀流投資家はどう立ち回るか

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「夏枯れ相場だから、今は様子見しておこう」——毎年この時期になると、そう考える方は多いのではないでしょうか。夏は市場参加者が減って商いが細り、株価も動きにくくなる。だから買うのは秋まで待とう、という発想です。私も以前は、なんとなくそう思っていました。

ですが近年、その感覚に、はっきりとした違和感を覚えるようになりました。夏でも、株価は普通に上がっているのです。実際、2026年の上半期は、夏を待つどころか、AI・半導体株に牽引されて最高値を更新し続けました。7月上旬の今、日経平均は7万円台の史上最高値圏にあります。「夏枯れだから待つ」という戦略で様子見していた人は、この上昇にまるごと乗り遅れてしまったことになります。今日は、夏枯れは本当に当てにできるのかを考え、そのうえで、インデックスと高配当株の二刀流投資家としてどう立ち回るかを、正直にお話しします。

「夏枯れ」が通用しなくなった3つの理由

そもそも夏枯れ相場とは、欧米の投資家が夏に長期休暇を取り、市場参加者が減って商いが薄くなる——という季節性のことでした。ですが、これが近年、当てにできなくなっています。理由は3つあります。

理由1:主役は海外投資家です。 日本株の売買代金の6〜7割は、いまや海外投資家が占めています。彼らにとって、日本のお盆の季節感はまったく関係ありません。日本人がお盆で市場を離れても、世界中の投資家は淡々と日本株を売買し続けます。日本取引所グループの投資部門別売買状況を見ても、海外勢の存在感は圧倒的です。

理由2:季節を問わず淡々と買う主体が定着しました。 新NISAで毎月コツコツ積み立てる個人、増加が続く企業の自社株買い、そしてインデックスファンドへの資金流入。これらは、夏だろうが冬だろうが、季節に関係なく買い続けます。「夏だから買い手が減る」という前提が、構造的に崩れているのです。

理由3:AIという構造的なテーマが相場を動かしています。 いまの相場を動かしているのは、季節性ではなく、AI・半導体という強力な成長テーマです。テーマの持続力が株価を左右する局面では、「夏だから」という暦の都合は、ほとんど意味を持ちません。実際、昨年(2025年)の夏も、売買代金はむしろ増加していました。こうした事情から、「夏だから下がる、待てば安く買える」という期待は、年々外れやすくなっているのです。

ただし、油断は禁物。「夏の波乱」には備える

とはいえ、「夏枯れは幻想だから、夏は安心だ」と結論づけるのは早計です。夏枯れ(閑散で株価が下がる)は薄れましたが、「夏〜秋のイベントリスク」はまったく別の話だからです。

まず、毎年8月下旬に開かれるジャクソンホール会合です。これは世界の中央銀行関係者が集まる経済シンポジウムで、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演が最大の注目点になります。ここでの金融政策に関する発言が、過去に世界同時株安の引き金になったことも一度や二度ではありません。さらに、夏の相場のアノマリーを越えて、秋には11月3日の米中間選挙が控えています。選挙に向けた政治的な不透明感は、相場のボラティリティ(変動)を高める要因になりえます。

つまり、注意すべきは「閑散」ではなく「波乱」です。のんびりした夏枯れを待つのではなく、イベントをきっかけとした一時的な下げに備えておく——そういう発想への切り替えが必要なのです。

二刀流投資家の、夏の立ち回り方

では、この相場で私はどう動くか。インデックスと高配当株の二刀流の視点から、3つに整理してお話しします。

立ち回り1:インデックスは、季節を問わず淡々と積み立てる

私にとってインデックス投資は「将来の自分へのプレゼント」です。この積立は、夏枯れを待ちません。「夏に下がるだろうから、それまで積立を止めよう」という判断こそ、上がり続ける相場で買い場を逃す、典型的な失敗だからです。タイミングを計ろうとして、かえって大切な機会を逃してしまう——これは、ほかでもない私自身が、過去に何度もやってしまった失敗でもあります。インデックスは、市場に居続けることそのものが最大の武器です。だから、季節では絶対に止めません。

タイミングを計りすぎて失敗した私の実体験は、こちらの記事で正直に書いています。

私が投資で一番後悔している失敗:他人の「確信」に乗り続けた数年間

立ち回り2:高配当株は、割安局面に備えて待機資金を持つ

一方、「今の自分への還元」である高配当株は、インデックスとは戦略が異なります。夏枯れそのものは当てにできませんが、先ほど触れた8月のジャクソンホール会合のようなイベントリスクで、相場が一時的にガクッと下げる場面は、じゅうぶんにありえます。そこで私は、割安になった優良高配当株をまとめて拾えるよう、待機資金を持っておくようにしています。

ここで大事なのは、「下げをただ待って何もしない」のではなく、「下げが来たら動けるように準備しておく」という姿勢です。これは、下げた優良銘柄を少しずつ拾っていく、私の従来の高配当株戦略とまったく同じ発想です。夏枯れを待つのではなく、波乱に備える。この違いが、夏の高配当株戦略の肝になります。

立ち回り3:夏の波乱に、身構えすぎない

最後に、逆説的なことを言います。夏枯れは幻想、でもイベントリスクはある——とはいえ、それを恐れるあまり、動けなくなってしまうのも違います。「波乱が来るかもしれないから、何も買わずにじっとしていよう」では、結局、様子見で買い場を逃すのと同じことになりかねません。

大事なのは「予測」ではなく「設計」です。攻めのインデックスと、守りの高配当株。この両輪がそろったポートフォリオなら、夏が平穏でも波乱でも、どちらに転んでも困りません。相場を予測して当てにいくのではなく、予測が外れても大丈夫なように設計しておく。そうすれば、夏の相場に一喜一憂することなく、淡々と続けていけるのです。

夏枯れを待つのでも、波乱に怯えるのでもなく

今日の結論です。夏枯れを待って買い場を逃すのでもなく、夏の波乱に怯えて動けなくなるのでもない。季節に左右されない「設計」で、淡々と続ける——これが、私の考える夏の立ち回りです。

インデックスは季節を問わず止めずに積み立て、高配当株は割安局面に備えて待機資金を持つ。この二刀流の役割分担は、夏の相場でもしっかり機能します。「予測より設計、感情より数字」——これは私がいつも掲げている哲学ですが、今日の話は、いわばその季節版でした。夏枯れという古い暦の感覚に縛られるより、季節に左右されない自分の仕組みを持つほうが、ずっと気楽で、ずっと強いと思うのです。

さて、あなたは今年の夏、どう立ち回りますか。様子見で待ちますか、それとも淡々と続けますか。よかったら、麦茶でも飲みながら、ご自身の「夏の設計」を考えてみてください(私はといえば、今年も暑さで溶けそうになりながら、いつも通り積立を続けるだけの夏になりそうです)。

私がインデックスと高配当株の二刀流にたどり着いた理由は、こちらの記事で詳しく書いています。

インデックス投資と高配当株投資、両方やっている私が本音で語る【なぜ”二刀流”なのか】


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年7月6日時点の情報に基づいており、株価・相場環境は変動します。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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