配当+優待で総合利回り4%超:9月権利確定の3銘柄

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9月は、権利確定日を迎える銘柄が一年でいちばん多い月です。株主優待を実施している企業だけでも400社を超えます。

選択肢が多いのはありがたいのですが、多すぎて逆に選べないという面もあります。優待検索をかけると数百件が並び、上から眺めているうちに何を基準にしていたのか分からなくなってきます。

そこで今回は、「総合利回り」という一つの指標だけに絞って候補を並べてみることにしました。9月は銘柄が多いので、切り口を変えて何回かに分けて紹介していく予定です。今回はその1回目にあたります。

先に結論を書いておくと、自分で決めた条件で絞り込んだ結果、残ったのは3銘柄でした。5つ並べるつもりで始めたので、これは想定外でした。

総合利回りとは何か

総合利回り = 配当利回り + 優待利回り。それだけです。

優待利回りは「優待の価値 ÷ 投資金額 × 100」で計算します。金券や商品券であれば額面をそのまま使い、自社製品であれば市場価格の目安を当てはめます。

具体例を出します。株価2,000円の会社を100株買うと、投資額は20万円です。年間配当が1株60円なら、受け取る配当は6,000円で配当利回りは3.0%。ここに3,000円相当の優待が加わると、優待利回りは1.5%となり、総合利回りは4.5%という計算になります。

配当だけなら3.0%の銘柄が、優待を含めると4.5%になります。

ただし、この計算には落とし穴があります。便利な指標ほど限界を知らずに使うと危ないので、先にそちらを書いておきます。

総合利回りだけで判断してはいけない3つの理由

一つ目は、優待の価値が主観的だということです。3,000円相当と書かれていても、自分が使わないものなら価値はゼロに近くなります。近所に店舗がない外食チェーンの食事券、興味のない商品のカタログギフト。額面はあくまで発行する側の言い値であって、受け取る側にとっての価値とは別物です。

二つ目は、優待には法的な裏付けがないことです。配当は会社法に基づく手続きを踏んで決まりますが、優待は各社が任意で実施している制度にすぎません。だから廃止も改悪も、会社の判断だけでできてしまいます。総合利回りの半分が優待で構成されている銘柄は、その半分がいつ消えてもおかしくない、という構造を抱えています。

三つ目は、少額投資ほど優待利回りが高く見えることです。優待は「100株以上」で一律という設計が多く、200株に増やしても優待は変わらないことが珍しくありません。つまり投資額を増やすほど優待利回りは下がっていきます。総合利回りが高く見えるのは最低単元だけを持ったときの話で、資金を集中させるほど数字は目減りします。

こうした事情があるので、私は優待をあくまで「おまけ」として見ています。主軸は配当です。優待が魅力的でも配当が出ていない会社は、今回の候補から外しました。

廃止されにくい優待の選び方については、こちらの記事で詳しく書いています。

廃止されにくい株主優待の選び方:自社製品を出している企業5選

今回の選定基準

以下の5つをすべて満たす銘柄だけを取り上げました。

  1. 2026年9月末が権利確定日であること(権利付き最終日は9月28日(月)、権利落ち日は9月29日(火))
  2. 総合利回りが4%以上であること
  3. 配当利回り単体でも2.0%以上であること
  4. 過去10年で減配・無配転落が一度もないこと
  5. 優待が自社サービスまたは使い道のはっきりした金券であること

3つ目の条件は、優待だけが突出して高く配当がほとんど出ていない銘柄を除くために置きました。実際、優待利回りが5%を超えていても配当が年10円といった銘柄はいくつもあり、それらはすべて外しています。

4つ目の条件が、いちばん多くの候補を落としました。年間配当を年度順に並べて前年と1つずつ比較したところ、エディオンは2022年3月期に46円から44円へ、ケーズホールディングスは2019年3月期に31.5円から30円へ、オートバックスセブンは2025年3月期に70円から60円へと、いずれも過去10年のどこかで配当を減らしていました。ヤマダホールディングスに至っては2回の減配があります。

この基準で絞ると、残ったのは3銘柄でした。数を揃えるために条件を緩めることはしていません。

残った3銘柄

株価は2026年8月25日終値です。優待利回りは各社が定める最低単元を保有した場合の概算で、100株の会社と200株の会社が混在している点にご注意ください。

銘柄名(コード)優待内容最低単元配当利回り優待利回り総合利回り
第一興商(7458)グループ飲食・カラオケ店の優待券 年10,000円分200株3.60%2.64%6.24%
Joshin(8173)自社店舗の買物優待券 年12,200円分100株2.29%2.79%5.08%
平和(6412)PGM系ゴルフ場の優待券 年4,000円分200株3.57%0.89%4.46%

3社とも、権利確定日は3月末と9月末の年2回です。優待も年2回受け取れる設計になっています。

3銘柄の中身を見る

第一興商(7458)― カラオケ「ビッグエコー」の会社

業務用カラオケ機器「DAM」の開発と、カラオケ店「ビッグエコー」の運営が柱です。「楽蔵」「ウメ子の家」といった飲食店も展開しています。第一興商の株主優待ページによれば、優待は200株以上で500円券10枚(5,000円分)が年2回、合計10,000円分です。株価1,891円で200株なら投資額378,200円ですから、優待利回りは2.64%となります。100株では対象外なので、そこは注意が必要です。

配当の安定性:年間配当は2017年3月期から順に54.5円、55.5円、56円、56.5円、56.5円、56.5円、56.5円、57円、57円、67円、そして2027年3月期予想が68円です(2023年4月の1対2の株式分割を反映した調整後の数値)。横ばいの年はありますが、減らした年は一度もありません。株主資本比率は57%です。

リスク・懸念点:第一に、2027年3月期の1株利益は121.88円の予想で、前期実績の153.37円から2割ほどの減益が見込まれています。配当を据え置いた場合の配当性向は56%前後まで上がる計算で、増配余地はこれまでより狭まります。第二に、優待券の使い道がカラオケと系列飲食店に限られるため、店舗が近くにない方には額面どおりの価値になりません。CDとの交換も選べますが、これも好みが分かれるところです。

Joshin(8173)― 関西地盤の家電量販店

上新電機から社名を変えた、大阪発祥の家電量販チェーンです。優待の設計がやや変わっていて、Joshinの株主優待ページによると3月末基準で2,200円分、9月末基準で10,000円分と、9月のほうが大幅に手厚くなっています。100株で年間12,200円分、投資額436,500円に対して優待利回りは2.79%です。

使い方は「1回の買物2,000円ごとに200円券1枚」という形式です。9月分だけで200円券が50枚届くので、使い切るには10万円分の買物が要る計算になります。

配当の安定性:年間配当は2017年3月期から32円、42円、50円、50円、75円、75円、75円、90円、100円、100円、2027年3月期予想100円と推移しています。こちらも減配はありません。

リスク・懸念点:一つは配当性向の高さです。2027年3月期の予想1株利益135.24円に対して配当100円ですから、配当性向は74%前後になります。今の水準を維持するだけでも利益の4分の3を配当に回す計算で、余裕があるとは言えません。もう一つは優待そのものへの依存で、9月分だけで10,000円という手厚さは裏を返せば会社にとって負担でもあり、見直しの候補になり得ます。

平和(6412)― パチンコ機とゴルフ場の二本柱

パチンコ・パチスロ機の製造と、PGM(パシフィックゴルフマネージメント)によるゴルフ場運営を手がけています。平和の株主優待ページによれば、優待は200株以上で1,000円券2枚が年2回、合計4,000円分です。全国130か所以上のPGM・アコーディア系ゴルフ場で、プレー代の支払いに使えます。

正直に書くと、ゴルフをしない方にとっては価値がほぼゼロの優待です。今回の3社のうち、使い道がいちばん限定されます。優待利回りも0.89%と低く、総合利回り4.46%のほとんどは配当が稼いでいる構成です。

配当の安定性:年間配当は2017年3月期から2027年3月期予想まで、11期連続で80円のまま変わっていません。減配はありませんが、増配もありません。この点は正直に書いておきます。株式分割・併合の実施もありません。

リスク・懸念点:第一に、株主資本比率が23.26%と、今回の3社では突出して低い水準です。ゴルフ場を保有する事業構造上、相応の借入を抱えており、金利上昇は利払い負担に直結します。第二に、パチンコ機事業は規制の変更や機種の当たり外れで業績が大きく振れる性質があり、2026年3月期の1株利益118.32円に対して2027年3月期予想は205.83円と、そもそもの変動幅が大きい会社です。

権利落ちをどう受け止めるか

権利付き最終日の翌営業日には、配当や優待を受け取る権利がなくなるため、その分だけ株価が調整されやすくなります。仕組みそのものは日本取引所グループの用語集でも確認できます。

ここで一つ、数字の話をしておきます。権利落ちで機械的に調整されるのは、基本的には配当の部分です。今回の3社でいえば、9月末に受け取れる配当は1株あたり34円、50円、40円といった水準で、株価に対する比率は1〜2%程度にとどまります。一方で優待の価値は株価に直接は反映されないため、権利落ち日の値動きが「配当+優待の合計分」きっちり下がるとは限りません。人気の優待銘柄ほど、事前の買いと事後の売りで振れ幅が読みにくくなります。

では権利だけ取って売るのかというと、私はそれをしません。理由は単純で、優待も配当も、来年また受け取れることに意味があると考えているからです。1回分を取って手放してしまえば、翌年の分は他人のものになります。

そもそも私は権利確定日を意識して買うこと自体をあまりしていません。給料が入ったタイミングで淡々と買い増すだけなので、たまたま権利前だったり権利落ち後だったりします。長い目で見れば、その差は誤差に収まっていくと思っています。

まとめ

総合利回りは、配当だけでは見えない部分を可視化してくれる便利な指標です。ただ、その便利さは優待の価値を額面どおりに信じることで成り立っています。今回の3社を並べてみても、総合利回りの内訳はまったく違いました。第一興商とJoshinは優待が半分近くを占め、平和はほとんどが配当です。

同じ「4%超え」でも中身が違えば意味も違います。優待が半分を占める銘柄は、優待が廃止された瞬間に利回りが半減する銘柄でもあります。

あなたにとって、その優待は本当に価値がありますか。カラオケに行かない人にとってのカラオケ券、ゴルフをしない人にとってのゴルフ券は、計算上の利回りには含まれていても、生活の中では1円にもなりません。私自身、ビッグエコーに最後に行ったのがいつだったか思い出せませんでした。

次回は同じ9月権利確定でも、優待を外して財務の堅さから選ぶ切り口を予定しています。

私が保有株を売る基準については、こちらで詳しく書いています。

高配当株を売るということについて:私の高配当ポートフォリオは「盆栽」です


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。株主優待の内容は各社の判断で変更・廃止される場合があります。データは2026年8月時点の情報に基づいており、株価・配当利回り・優待内容は変動します。権利付き最終日等は最新の各社発表をご確認ください。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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