投資情報を”選ぶ”基準: 毎日読むもの、絶対に見ないもの

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以前、株価アプリの通知を全部切った話を書きました。情報を減らしたら、かえって投資がうまく回り始めた、という内容です。あれは「量を減らす」という話でした。

ただ、情報を完全にゼロにすることはできません。企業のことを何も知らないまま株を買うわけにはいきませんし、世の中で何が起きているかを知らずにいれば、それはそれで足をすくわれます。減らすと決めたあとに残るのは、「では、限られた時間で何を読むのか」という問いのほうです。

これは量の話ではなく、質の話、というより取捨選択の話だと思っています。私の場合、読むものと読まないものが、かなりはっきり分かれています。

今日は、私が実際にどう情報源を使い分けているかを、正直にお話しします。人におすすめする話ではなく、あくまで私の場合はこうなっている、という記録として読んでいただければと思います。

日経電子版:土台をつくるために、毎日読む

日経電子版を毎日読むのは、ここ数年ずっと続けている習慣です。有料会員登録をしており、朝でも夜でも、必ずどこかで目を通します。私の情報源のなかで、唯一の「毎日」がこれです。

読み続けている理由は3つあります。ひとつ目は、経済用語が自然と身につくこと。投資を始めたころ、記事に出てくる言葉の半分くらいは正直よく分かっていませんでした。営業利益と経常利益の違いすら、あやふやだった時期があります。それが、毎日読んでいるうちに少しずつ輪郭を持ってきました。分からない言葉に何度もぶつかると、さすがに調べるようになるからです。

ふたつ目は、時事に通じられること。株を持っていると、政治や制度の変更が思わぬところで効いてきます。金利、税制、規制、為替。それらを「投資と関係のあるニュース」として受け取れるようになったのは、毎日読んでいるおかげだと思います。

3つ目が、いちばん大きい理由です。世界の経済の流れを、いちばんよく理解できることです。個別の銘柄がどうこうという話ではなく、いまお金がどこへ向かっているのか、どの産業が縮んでどの産業が膨らんでいるのか。そういう大きな向きが、毎日読んでいると少しずつ見えてきます。

これは短期にも長期にも効く情報です。時間軸を問わない、投資の土台そのものだと私は考えています。

Yahoo!ファイナンス・IRBANK・銘柄スカウター:裏を取るための道具

日経を読んでいると、「この会社、面白そうだな」と引っかかる銘柄が出てきます。そこで私がすることは、買うことではなく、調べることです。

使っているのは、Yahoo!ファイナンス、IRBANK、そしてマネックス証券の銘柄スカウターの3つです。株価と時価総額を確認して、配当の推移を年度ごとに並べて、業績が何年も伸びているのか一時的なのかを見る。この作業をしないうちは、どれだけ記事の内容が魅力的でも判断材料にはなりません。

新しい銘柄を発掘したいときも同じで、まずこれらで検索をかけます。スクリーニングをかけて条件で絞り、気になった会社を1社ずつ開いて配当の並びを見ていく。地味な作業ですが、私にとってはここが実務のほとんどを占めています。

これらは読み物ではなく、道具です。毎日開くものではなく、必要になったときに引っ張り出すもの。その距離感がちょうどいいと思っています。

X:空気感は探るが、鵜呑みにはしない

Xは1日1回だけ見ます。目的ははっきりしていて、投資系のアカウントがいま何に注目しているのか、その空気感を知るためです。

正直に言えば、本当の最新情報は、日経よりもSNSのほうが早いことがあります。決算が出た直後の反応、ある銘柄に急に人が集まっている気配、業界の中の人らしき投稿。速さという一点だけを見れば、ここに勝てるものはなかなかありません。

ただ、私はここで得た情報を、決して鵜呑みにしません。気になる話が流れてきたら、必ず引用元をたどります。元の記事、元の開示資料、元の統計。そこまで戻れて初めて、判断の材料として使います。戻れなかったものは、面白い話として頭の片隅に置いておくだけで終わりです。

会社の話であれば、たいていTDnetの適時開示情報やEDINETにたどり着きます。数字の話であれば官庁の統計に行き着きます。ここまで来ると、SNSで見た要約と原文のニュアンスが微妙に違っていた、ということも珍しくありません。悪意があるわけではなく、短く書けば情報は落ちるものなのだと思います。

空気感を知るための情報と、判断の根拠にする情報は、別物だと思っています。Xは前者としては優秀ですが、後者として使うようには私はできていません。

情報を減らすという習慣についても、以前書きました。

株価アプリの通知を切った話:情報を減らすほど、投資はうまくいく

相場予測系のYouTubeは見ない:これは「音楽性の違い」です

一方で、はっきり見ないと決めているものがあります。相場の予測をしているYouTubeのアカウントです。「来週の日経平均はこうなる」「この水準まで下がる」といった内容のものは、おすすめに出てきても開きません。

誤解のないように書いておきたいのですが、これは「信用できないから」という理由ではありません。短期で売買をする人にとっては、相場の見通しを整理してくれる情報には価値があるのだと思います。実際、丁寧に材料を集めて分析している方も多いはずです。私がその価値を判定できる立場にあるとも思っていません。

理由はもっと単純で、私の投資の時間軸に合わないからです。私は、長期で持ち続けられる会社しか買わないと決めています。買う前に見るのは、配当が何年続いているか、財務が耐えられるか、事業が10年後も必要とされていそうか。そういう問いばかりです。

その私が「来週どう動くか」を知ったところで、行動が何も変わりません。上がると言われても買い増しの理由にはならず、下がると言われても売る理由にはならない。判断が変わらない情報を仕入れても、心が揺れるだけで終わります。むしろ、揺れた結果として当初のルールを破るほうが、私にとってはずっと危険です。

ですので、これは良い悪いの話ではありません。音楽性の違いだと思っています。同じ株式市場にいても、見ている時間の長さが違えば、必要な情報はまったく別物になります。私が短期の情報を使いこなせないのは、私のやり方がそちらに向いていないからであって、その情報の質とは関係がありません。

結局、情報源を選ぶ基準は2つだけ

こうして自分の使い分けを並べてみると、選んでいる基準は2つに集約されていました。

ひとつ目は、そこから先、自分で確かめられるかどうか。言い換えると、一次情報にたどり着けるかどうかです。日経の記事は、たいてい出典となる発表や統計がはっきりしていて、その先へ進めます。Xの投稿も、引用元が示されていれば進めます。逆に、根拠の見えない断定だけが書かれているものは、そこで行き止まりです。行き止まりの情報は、どれだけ面白くても私の判断材料にはなりません。

ふたつ目は、自分の投資の時間軸に合っているかどうか。私は長期保有が前提なので、年単位で意味を持つ情報を優先します。配当方針、財務の推移、産業構造の変化。逆に、日単位・週単位で価値が消える情報は、どれだけ精度が高くても私の役には立ちません。

量でも速さでもありません。この2つだけです。そして面白いことに、この基準で選ぶと、読むものは自然と少なくなります。減らすことと選ぶことは、結局のところ同じ作業だったのだと、いま振り返ると思います。

情報が多い時代だからこそ、「選ぶ」ことそのものが投資の一部になっていると感じています。何を読むかを決めるのは、どの銘柄を買うかを決めるのと、たぶん同じくらい効いてきます。

まとめ:読まないものを決めると、読むものが残る

通知を切ったのは量を減らすためでした。情報源を絞ったのは、限られた時間をどこに使うかを決めるためでした。方向は違うようでいて、行き着く先は同じです。自分が本当に判断に使うものだけを手元に残す、という一点に向かっています。

日経を毎日読み、気になった会社は自分で調べ、Xは空気を吸うために1日1回だけ開き、相場予測は見ない。書き出してみると地味ですが、この形に落ち着くまでには何年もかかりました。

あなたは、どんな基準で情報源を選んでいますか。もし「なんとなく流れてくるから見ている」というものがひとつでもあるなら、それをやめてみるところから始めてもいいのかもしれません(とはいえ私も、Xを1日1回で止められるようになるまでが、いちばん時間がかかったのですが)。


※本記事は情報提供および筆者個人の経験・見解を目的としており、特定の情報源・投資手法を推奨・否定するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年9月時点の情報に基づいています。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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