投資でやらないと決めていること:失敗して学んだ、私のルール

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投資の話をするとき、私たちはつい「何を買うか」ばかりを考えてしまいます。でも最近の私は、やっていることより、やらないと決めていることのほうが、実は大事かもしれないと思うようになりました。

私にはいくつか、「これは絶対にやらない」と決めているルールがあります。そしてその多くは、立派な理論から導いたものではありません。実際にやってみて、失敗して、痛い思いをして学んだものです。

今日は、その失敗も含めて正直にお話しします。そして最後に、これらのルールに共通している、たった一つの原理をお伝えしたいと思います。私にとっては、そこがいちばん大事な部分です。

動画で勧められた「最先端株」を買って学んだこと

まず一つ目は、流行りの小型株や、話題になっている個別株を買わないということです。

数年前、ある投資会社の動画で推奨されていた「最先端」と紹介された銘柄を、数銘柄まとめて買ったことがあります。将来性のある技術を持つ会社ばかりで、説明を聞けば聞くほど納得できました。1年ほど保有していたと思います。

ところが、実際に持ってみて分かったのは、小型株の値動きの速さに、自分が耐えられないということでした。一日で何%も動くので、気づけば常に株価が気になるようになっていました。仕事中も、休日も、頭のどこかに相場がある。あの落ち着かなさは、今思い出しても嫌なものでした。

結果はどうだったか。5銘柄のうち1銘柄は大きく跳ねました。けれども残りの4銘柄が暴落し、全体ではマイナスで終わりました。「1つ当たれば元が取れる」という考え方も理解はできるのですが、少なくとも私のやり方では、そうなりませんでした。

同じ頃、ある本で推奨されていた米国の個別株も、いくつか保有していました。こちらは誰もが知る大型株でしたが、やはり値動きが気になって仕方がありません。しかも米国市場が動くのは日本の夜です。眠る前に株価を確認する生活が続いて、これも私には合わないと分かり、手放しました。念のため申し添えると、小型株投資も米国個別株投資も、それ自体が悪いという話ではまったくありません。単純に、私の性格と生活に合わなかったというだけの話です。

JT株を手放して、その後の株価を見た日のこと

二つ目は、含み損だけを理由に売らないということです。これは、はっきりと後悔が残っている失敗から学びました。

私はかつて、JT(日本たばこ産業)の株を保有していました。買った理由は明確で、高い配当を長く受け取りたかったからです。ところが購入後、株価はじりじりと下がり、気づけばそれなりの含み損を抱えていました。

そして私は、売ってしまいました。業績を調べ直したわけでも、減配が発表されたわけでもありません。ただ「含み損が膨らんでいるのが不安だった」という、それだけの理由でした。

その後どうなったか。JTは増配し、株価も回復していきました。数年経った今では、当時とは比べものにならない水準まで伸びています。あのまま持っていれば、配当を受け取り続けながら、株価の回復も享受できていたはずです。「あのとき売らなければ」と、私は何度も思いました。

この経験から生まれたのが、「配当目的で買った株は、含み損だけを理由に手放さない」というルールです。配当が続いている限り、その株は私が期待した仕事をしてくれています。株価が買値を下回っていることは、配当が止まったことを意味しません。当たり前のようですが、当時の私には分かっていませんでした。

では、どういうときに売るのか。私の売却基準は、こちらの記事に書いています。

高配当株を売るということについて:私の高配当ポートフォリオは「盆栽」です

経験する前から、決めていること

ここまでの2つは、痛い思いをして学んだルールです。一方で、失敗する前から決めていたこともあります。自分の性格に合わないと、やる前から分かっていたものです。

  • 信用取引・レバレッジをかけない……借りたお金で増やそうとすると、下げたときに冷静でいられる自信がありません。
  • デイトレード・短期売買をしない……一日中株価を見ていられる生活ではありませんし、そもそも向いていないと思っています。
  • 1銘柄に集中投資しない……日本の個別株は、どれも資産の2.5%を超えないようにしています。1社の減配で夜眠れなくなるのは避けたいからです。
  • 減配歴のある企業は買わない……配当を受け取るために買う以上、過去に配当を下げた実績があるかどうかは、最初に確認します。
  • 暗号資産に大きく賭けない……全体の2%までと決めています。値動きの理由を自分で説明できないものに、大きな金額は置けません。
  • 話題のIPOに飛びつかない……上場直後は判断材料が少なく、数年分の配当実績を確認できないからです。
  • 投資のために借金をしない……返済期限のあるお金で投資をすると、相場ではなく期限に判断を委ねることになります。

並べてみると、ずいぶん臆病に見えるかもしれません。実際、臆病だと思います。ただ、こうしたルールを先に決めておくと、迷う機会そのものが減ります。新しい商品や話題の銘柄を見かけても、「これは自分がやらないと決めた側だ」と分かれば、それ以上悩まずに済むからです。資産形成の基本的な考え方については、金融庁の資産形成の基本のような公的な解説も、判断の物差しとして参考になると思います。

買った理由と、売る理由がズレたとき

さて、ここからが今日いちばんお伝えしたいことです。ここまで挙げてきたルールを並べて眺めていると、実はすべてに共通する、たった一つの原理があることに気づきます。

私の2つの失敗を、もう一度振り返ってみてください。

最先端株は、「値上がり期待」で買ったはずでした。ところが手放した理由は、値上がりしなかったからではありません。値動きの速さに耐えられなくなったからです。JT株は、「配当目的」で買ったはずでした。ところが売った理由は、配当が減ったからではなく、株価という別の物差しで見て不安になったからでした。

つまり、どちらも同じことが起きています。買った理由と、売る理由がズレたとき、私は失敗しているのです。買うときには自分なりの目的があったのに、売るときには、まったく別の基準で判断してしまう。相場が荒れているときほど、この乗り換えは無自覚に起こります。

だから私にとって「やらないこと」を決めておくのは、単なる禁止事項のリストではありません。自分が何のために買ったのかを見失わないための装置です。その場の感情で毎回正しく判断できるほど、自分は強くない。それが分かっているから、あらかじめルールという形にして、判断の前に置いてあるのです。

私の投資哲学の全体像は、こちらのまとめ記事でご覧いただけます。

私の投資哲学まとめ:数字を追いながら、数字に振り回されないために

まとめ:やらないことを決めると、迷いが減る

やらないことを決めるのは、選択肢を狭めることだと思われがちです。でも実際にやってみると、感覚はまったく逆でした。減ったのは選択肢ではなく、迷う時間のほうだったのです。

流行りの銘柄が話題になっても、私はもう検討しません。含み損の画面を見ても、売るかどうかで悩みません。判断すべきことが減った分、投資に振り回される時間はずいぶん少なくなりました。これは、リターンの数字には表れない収穫だと思っています。

もちろん、ここに書いたのはあくまで私のルールです。人によって、性格も生活も、耐えられる値動きの幅も違います。だから、そのまま真似する必要はまったくありません。ただ、一度考えてみる価値はあると思うのです。あなたが投資で「やらない」と決めていることは、何ですか。(ちなみに私は「株価を頻繁に見ない」も決めているのですが、これだけは今も、月に一度こっそり破っています)


※本記事は情報提供および筆者個人の経験・見解を目的としており、特定の投資手法や銘柄を推奨・否定するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年8月12日時点の情報に基づいています。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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