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今週の水曜日、7月29日(水)が、今月の権利付き最終日です。この日の取引終了時点で株を持っていれば、7月末に権利確定する配当や株主優待を受け取ることができます。「もう遅いかな」と思われた方、ご安心ください。まだ間に合います。
7月は、3月や9月に比べると優待の数こそ少なめですが、その分、あまり注目されずに好条件のまま残っている銘柄もあります。今日は、配当と優待の両方を意識しながら、7月末の権利確定に向けて狙える5銘柄を、財務データと過去の配当推移とあわせて紹介します。焦らせるつもりはありませんが、忘れないうちにチェックしておきたいところです。
まず確認:権利付き最終日と権利確定日
「権利確定日に株を持っていれば配当や優待がもらえる」というのは、半分だけ正しい理解です。実際には、権利確定日の2営業日前までに買付を終えておく必要があります。この2営業日前が「権利付き最終日」です。
2026年7月の場合、権利確定日は7月31日(金)、権利付き最終日は7月29日(水)となります。その翌営業日である7月30日(木)は「権利落ち日」で、この日以降に買っても今回の配当・優待は受け取れません。なお、企業によって権利確定月が異なる場合があるため、個別銘柄ごとに最新の会社発表を必ずご確認ください。
今回の選定基準
今回の5銘柄は、次の4つの基準で選びました。「配当だけ」でも「優待だけ」でもなく、その両方の観点から、長く付き合える銘柄を選んでいます。
- 配当利回り、または配当+優待の総合的な魅力が高い
- 過去10年で大きな減配・無配転落がない……コロナ禍を挟んでも配当を守ってきた実績を重視しました
- 優待はできるだけ自社サービス・自社製品系……廃止されにくさの観点から評価しています
- 財務が健全である……直近決算が黒字で、自己資本にも余力がある
この基準で候補を絞り込む過程で、直近に減配していた銘柄や、通期で赤字に転落した銘柄は、魅力的に見えても今回は見送りました。「利回りの高さ」だけで飛びつかないことが、優待・配当投資で失敗しないコツだと考えています。
廃止されにくい株主優待の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
7月末権利確定・配当&優待5銘柄一覧
| 銘柄(コード) | 配当利回り | 優待内容 | 配当の安定性 |
| 日本駐車場開発(2353) | 3.45% | 駐車場・スキー場・レジャー施設の割引券 | 10年連続増配 |
| オーエムツーネットワーク(7614) | 2.32% | 自社店舗の食事割引券・自社商品 | 10年減配なし・自己資本77% |
| 稲葉製作所(3421) | 2.50% | QUOカード | 10年減配なし・実質無借金 |
| 丹青社(9743) | 5.72% | ―(高配当が主役) | 2022年に減配→その後最高水準へ回復 |
| 内田洋行(8057) | 3.43% | ―(高配当が主役) | 10年一貫増配 |
各銘柄の詳細解説
① 日本駐車場開発(2353):レジャー好きにうれしい優待と10年連続増配
事業内容・優待の魅力:駐車場の運営受託を主力に、スキー場やテーマパークといったレジャー施設の運営も手がける会社です。株主優待は、自社が運営する駐車場・スキー場・レジャー施設で使える割引券。旅行やレジャーが好きな方なら、優待の恩恵を実感しやすいタイプです(優待内容の詳細はこちら)。自社サービスの提供なので、廃止されにくい構造でもあります。
配当・財務の安定性:配当利回りは約3.45%。過去10年の配当推移を確認すると、3.30円から9.00円まで一度も減配することなく、毎年増配を続けています。コロナ禍でレジャー事業が打撃を受けた局面でも配当を守り抜いた実績は、高く評価できます。
リスク・懸念点:①スキー場・テーマパーク事業は天候や景気、旅行需要に左右されやすい面があります。②PBRが高めの水準にあり、株価が割高感を意識される局面もあります。③権利落ち後は一時的に株価が下がりやすい点にも注意が必要です。
② オーエムツーネットワーク(7614):食肉小売と外食を手がける「食卓」の優待
事業内容・優待の魅力:食肉の小売と外食事業を手がける会社です。株主優待は、自社店舗で使える食事割引券や自社商品。自社のサービスをそのまま株主に届ける形なので、企業側にとっても現金を配るよりコスト負担が軽く、廃止されにくい構造の優待だといえます(優待内容の詳細はこちら)。お肉好きの方なら、優待の恩恵をそのまま食卓で実感できるタイプです。
配当・財務の安定性:配当利回りは約2.32%。過去10年の配当を年度順に確認すると、24円を長く維持したのち、直近は30円→34円→36円と増配に転じており、減配・無配は一度もありません。コロナ禍で外食が打撃を受けた時期も、24円の配当を守り抜いた実績があります。自己資本比率77.4%と財務も厚く、PBR0.57倍と割安感もある一社です。
リスク・懸念点:①食肉相場や光熱費・人件費の上昇が、小売・外食の利益率を圧迫しやすい業種です。②直近の四半期は増益となったものの、ここ数年は業績が伸び悩む局面もあり、成長性という点では力強さに欠けます。③権利落ち後は株価が下がりやすい点にも留意が必要です。
③ 稲葉製作所(3421):実質無借金の「イナバ物置」がQUOカード優待
事業内容・優待の魅力:「100人乗っても大丈夫」でおなじみのイナバ物置を製造する会社で、オフィス家具事業も展開しています。株主優待はQUOカード。金券系の優待は使い勝手がよく、どなたにとっても無駄になりにくいのが利点です(優待内容の詳細はこちら)。
配当・財務の安定性:配当利回りは約2.50%。過去10年で減配はなく、緩やかな増配傾向にあります。特筆すべきは自己資本比率74%という実質無借金経営で、財務の鉄壁さは今回の5銘柄でも屈指。不況が来ても優待・配当を続けられる体力は十分です。
リスク・懸念点:①物置・オフィス家具は住宅着工や設備投資の動向に業績が左右されます。②潤沢な手元資金を成長投資に活かしきれていないという資本効率の課題もあります。③権利落ち後は株価が下がりやすい点に留意が必要です。
④ 丹青社(9743):利回り5.7%台の高配当・空間デザイン企業
事業内容・優待の魅力:商業施設や博物館、展示会などの空間づくり(ディスプレイ・内装)を手がける会社です。優待制度はありませんが、今回の5銘柄で最も高い配当利回りが魅力。「優待より現金(配当)が好き」という方に向いた高配当枠として選びました。
配当・財務の安定性:配当利回りは約5.72%。正直にお伝えすると、2022年1月期に一度減配しています(コロナ禍で商業施設の内装需要が急減した影響です)。ただしその後は業績が力強く回復し、配当も過去最高水準まで戻しました。自己資本比率67.6%、ROE16%台と財務・収益力ともに良好で、一時的なつまずきを乗り越えた強さがあります。
リスク・懸念点:①内装・ディスプレイ需要は景気やイベント動向に左右されやすく、大型案件の反動減が業績を振れさせます。②高利回りの銘柄は、権利落ち後の株価下落幅も大きくなりやすい点を覚悟しておく必要があります。
⑤ 内田洋行(8057):教育ICT好調で一貫増配のオフィス構築企業
事業内容・優待の魅力:オフィス空間の構築や、学校向けの教育ICT(GIGAスクール関連など)を手がける会社です。こちらも優待はありませんが、安定した増配と好業績が魅力の高配当枠。直近決算は売上・利益ともに大幅な増収増益で、勢いのある一社です。
配当・財務の安定性:配当利回りは約3.43%。過去10年で減配は一度もなく、一貫して増配を続けてきました(2026年1月に1対5の株式分割を実施済み)。教育ICTという国策に近い追い風を受けており、増配余力も期待できます。
リスク・懸念点:①教育ICT関連は公的予算の動向に業績が左右されやすく、案件の端境期には反動減が出る可能性があります。②自己資本比率は40%台とやや低めで、大型案件の運転資金負担には注意が必要です。③権利落ち後の株価下落リスクも他銘柄同様に存在します。
まとめ:7月29日まで、焦らず、でも忘れずに
今回の5銘柄を整理すると、優待を楽しみたいなら日本駐車場開発(レジャー割引)・オーエムツーネットワーク(食事割引券)・稲葉製作所(QUOカード)、高配当を重視するなら丹青社(利回り5.7%台)・内田洋行(一貫増配)、という棲み分けになります。いずれも7月29日(水)の権利付き最終日までに買付を終えれば、7月末の配当・優待の権利を取得できます。
ただし、権利取りを狙った買いで株価が事前に上がり、権利落ち後に下がるという値動きはよくあることです。私自身は「権利落ちで下がったところを、余裕を持って拾う」という考え方も大切にしています。無理に飛び乗る必要はありません。あと2日、焦らず、でも忘れずに、ご自身のポートフォリオと相談してみてください(かく言う私も、優待の割引券を握りしめて、まだ行けていないスキー場のことを毎年7月に思い出すのですが)。
6月権利確定の高配当株については、こちらでも紹介しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年7月27日時点の情報に基づいており、株価・配当利回り・優待内容は変動・変更される場合があります。権利付き最終日等の情報も最新の各社発表をご確認ください。
著者プロフィール
クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。