8月優待は「今」仕込む:権利落ちで損しない優待+高配当5銘柄

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8月末に権利が確定する配当や株主優待の権利付き最終日は、8月27日(木)です。この記事を公開している時点で、まだ20日ほどあります。「まだ先の話だな」と思われた方も多いのではないでしょうか。

ただ、私はこの「まだ早い」という感覚こそ、少し損をしやすいのではないかと考えています。というのも、人気のある優待銘柄や高配当株は、権利付き最終日が近づくにつれて買いが集まり、株価が上がりやすい傾向があるからです。そして権利が確定した翌日には、その分だけ株価が下がりやすくなります。高いところで買って、権利をもらった直後に下がる——このパターンは、優待投資を始めたばかりの頃の私が、何度も経験したものでした。

だからこそ、まだ世間の注目が集まっていない今の時期に、落ち着いて候補を選んでおくほうが有利になりやすいと思っています。今日は、8月末の権利確定に向けて今のうちに検討しておきたい5銘柄を、配当の実績データとあわせて紹介します。

なぜ「直前に買う」と損をしやすいのか

まず、権利確定の仕組みを簡単に確認しておきます。配当や優待を受け取るには、権利確定日の2営業日前までに買付を終えておく必要があります。この日が「権利付き最終日」です。2026年8月末が権利確定日の銘柄であれば、権利付き最終日は8月27日(木)、権利落ち日は8月28日(金)となります(証券会社各社の案内、たとえば楽天証券の8月末決算銘柄に関する案内でも確認できます)。

ここで起きやすいのが、駆け込み買いによる株価の上昇です。人気の優待銘柄はみんかぶの8月権利確定ランキングなどで注目が高まり、そこから買いが集まりやすくなります。そして権利落ち日には、受け取った配当や優待の価値の分だけ株価が調整されやすくなります。つまり、直前に高値で買うと、権利をもらった直後の下げをそのまま受け止めることになりやすいわけです。

もちろん、必ず上がる、必ず下がる、と決まっているわけではありません。相場の地合いや個別の材料で、値動きはいくらでも変わります。それでも「そうなりやすい傾向がある」と知っているだけで、慌てて飛び乗る必要はなくなります。

今回の選定基準

今回の5銘柄は、次の5つの基準で選びました。

  1. 8月末が権利確定日である(権利付き最終日は8月27日)
  2. 過去10年で大きな減配・無配転落がない……最も重視した基準です。年間配当を年度順に並べ、前年と比較して1年ずつ確認しました
  3. 優待の内容が実用的であること……商品券やQUOカードなど、使い道に困らないもの
  4. 配当利回りも一定水準あること……優待だけに頼らない銘柄を選びました
  5. 業績・財務が健全であること……直近が赤字でなく、自己資本にも余力があること

正直にお伝えすると、この基準で絞り込む過程で、有名な8月優待銘柄をいくつも見送りました。優待利回りの高さや知名度ではなく、配当を守り抜いてきた実績を優先した結果です。コロナ禍の時期に大きく減配した銘柄は、優待の内容がどれだけ魅力的でも今回は外しています。

廃止されにくい株主優待の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

廃止されにくい株主優待の選び方:自社製品を出している企業5選

8月末権利確定・優待&高配当5銘柄一覧

銘柄名(コード)優待内容(8月末)配当利回り総合利回り目安配当の安定性(過去10年)
コーナン商事(7516)自社商品券1,000円券(100株で1枚)3.37%約3.8%10年連続増配(44円→140円)
イズミ(8273)商品券1,000円 or QUOカード500円(選択制)3.07%約5.1%(商品券選択時)10年減配なし(22円→30円)
エスフーズ(2292)自社グループ商品の優待価格販売(500株以上は記念の和牛)4.10%4.1%+優待分10年連続増配(35円→110円)
ナガイレーベン(7447)―(配当が主役)3.99%3.99%10年減配なし・自己資本92.5%
ヨンドシーHD(8008)優待券2,000円等(※1年以上の継続保有が条件)4.19%4.19%(優待は1年後から)10年減配なし(50円→85円)
※株価・配当利回りは2026年8月7日時点のYahoo!ファイナンスを基準にした概算です。優待内容・条件は各社の最新発表をご確認ください。

各銘柄の詳細解説

コーナン商事(7516):商品券がもらえる10年連続増配のホームセンター

事業内容と優待の魅力:「コーナン」を全国展開するホームセンター大手です。株主優待は自社で使える商品券(1,000円券)で、2月末と8月末の年2回もらえます。100株につき1枚が基本で、日用品から工具、園芸用品まで扱う店舗のため使い道に困りにくいのが利点です(詳細は同社IRの株主優待制度ページをご確認ください)。

配当・財務の安定性:配当利回りは3.37%(予想配当140円)。過去10年の配当を年度順に並べると、44円→50円→52円→54円→61円→70円→90円→95円→100円→130円→140円と、一度も減ることなく10年連続で増配しています。コロナ禍の時期も増配を続けた点は素直に評価したいところです。

リスク・懸念点:①自己資本比率は34.4%と今回の5銘柄では低めで、金利上昇局面では利払い負担が意識されます。②ホームセンター業界は競合が多く、天候や住宅市況で客足が左右されやすい面があります。

イズミ(8273):商品券かQUOカードを選べる西日本の総合スーパー

事業内容と優待の魅力:「ゆめタウン」を展開する、中国・四国・九州地盤の総合スーパーです。株主優待は2月末と8月末の年2回で、自社商品券かQUOカードを選べるのが特徴です。近くに店舗がない方でもQUOカードを選べるため、居住地を問わず使いやすいと思います。2年以上の継続保有には長期優遇もあります。

配当・財務の安定性:配当利回りは3.07%(予想配当30円)。過去10年の配当は22円→25円→26.67円→26.67円→27.67円→28.67円→29円→29.67円→30円→30円→30円と推移しており、減配は一度もありません。近年は30円で横ばいですが、下げてはいない点が重要です。自己資本比率は49.4%です。

リスク・懸念点:①近年の配当が横ばいで、増配の勢いという点では他銘柄に見劣りします。②食品スーパーは人件費や光熱費の上昇が利益率を圧迫しやすく、店舗が特定地域に集中している分、その地域の景気や災害の影響も受けやすい構造です。

エスフーズ(2292):10年連続増配の食肉大手、8月は創業60周年の記念優待

事業内容と優待の魅力:牛肉・豚肉などの食肉加工と卸売を手がける会社で、「こてっちゃん」でも知られています。優待は2月末と8月末の年2回。ただし正直にお伝えすると、100株での8月末の優待は「自社グループ商品を優待価格で購入できる案内」が中心で、現物が届くタイプではありません。なお2026年8月末は創業60周年の記念優待として、500株以上の株主に和牛が贈られる予定です。

配当・財務の安定性:この銘柄の主役は、むしろ配当です。配当利回りは4.10%(予想配当110円)。過去10年の配当は35円→43円→56円→60円→64円→70円→78円→84円→89円→104円→110円と、10年間ずっと増配を続けています。自己資本比率52.5%、PER13倍台と数字のバランスも良好です。

リスク・懸念点:①食肉相場や飼料価格、為替の変動が仕入れコストに直結し、利益率を揺らします。②100株では優待の実物が届かないため、優待目的で買うと期待外れになりかねません。あくまで配当を主役として考えたい銘柄です。

ナガイレーベン(7447):自己資本92.5%、医療白衣の鉄壁銘柄

事業内容と配当の魅力:病院で使われる白衣や手術衣を手がける、医療用ユニフォームの最大手です。株主優待はないため配当を主役に据えた枠として選びました。8月が本決算のため、8月末が期末配当の権利確定日にあたります。

配当・財務の安定性:配当利回りは3.99%。ここは丁寧に説明させてください。過去の配当を並べると、50円→60円→60円→60円→60円→60円→60円→60円→60円→100円→70円(予想)となっており、一見すると直近で減配したように見えます。ただし2025年8月期の100円は、創業110周年の記念配当40円を含んだ金額です。普通配当ベースで見ると60円が9年続いたあと70円へ増配しており、実質的な減配は起きていません(詳細は同社IRの株主還元・配当金推移で確認できます)。そして特筆すべきは自己資本比率92.5%という、ほぼ無借金の財務です。

リスク・懸念点:①直近の決算は売上・営業利益ともに小幅な減少となっており、成長性という点では力強さに欠けます。②医療機関の予算や診療報酬改定の影響を受けやすく、記念配当のない年の配当水準もあらかじめ理解しておく必要があります。

ヨンドシーホールディングス(8008):利回り4.19%のジュエリー大手

事業内容と優待の注意点:ジュエリーブランド「4℃」を展開する会社です。8月末にも優待の設定はありますが、継続保有1年以上が条件のため、今から買っても今回の優待はもらえません。この点は正直にお伝えしておきます。今回は配当を主役とする枠として選び、優待は1年後からのおまけと考えるのが現実的です。

配当・財務の安定性:配当利回りは4.19%(予想配当85円)と、今回の5銘柄で最も高い水準です。過去10年の配当は50円→65円→75円→80円→81円→83円→83円→83円→83円→83円→85円と推移しており、減配は一度もありません。83円で5年ほど横ばいが続いたあと、今期は85円へ増配予想です。自己資本比率は59.6%です。

リスク・懸念点:①ROEは4.5%前後と収益性が高いとは言えません。②ジュエリー市場は国内の人口減少と嗜好の変化という構造的な逆風があり、優待も1年以上の保有条件のため短期の優待狙いには向きません。

権利をもらった後、すぐ売るべきか

ここで、よく聞かれることに触れておきます。「権利落ちで株価が下がるなら、権利をもらったらすぐ売ればいいのでは」という考え方です。実際、そうした短期的な手法もありますが、私自身はそれをやりません

理由はシンプルで、私が高配当株を買う目的が、来年も再来年も配当を受け取り続けることにあるからです。権利を取って売ってしまえば、その源泉は手元からなくなります。私は自分の高配当ポートフォリオを盆栽のようなものだと思っていて、刈り取るものではなく、時間をかけて育てるものだと考えています。だから権利落ち後の下げは、私にとってはむしろ買い増しを検討できる場面です。事業も配当方針も変わっていないのに株価だけが下がるのであれば、持ち続ける理由は損なわれていないからです。

私が保有株を売る基準については、こちらで詳しく書いています。

高配当株を売るということについて:私の高配当ポートフォリオは「盆栽」です

まとめ:8月27日まで、焦らず、でも早めに

今回の5銘柄を整理すると、優待を楽しみたいならコーナン商事(商品券)・イズミ(商品券かQUOカードを選択)配当を重視するならエスフーズ(4.10%)・ナガイレーベン(3.99%)・ヨンドシーHD(4.19%)という棲み分けになります。エスフーズは8月末の優待が優待価格販売である点、ヨンドシーHDは優待に1年以上の保有が必要な点だけ、ご承知おきください。

いずれも共通しているのは、過去10年、大きな減配をしていないという一点です。優待の華やかさより、配当を守り抜いてきた実績を優先しました。地味な選び方ですが、長く付き合うつもりなら、ここがいちばん効いてくると思っています。

権利付き最終日の8月27日(木)まで、まだ時間があります。焦って飛び乗る必要はありませんが、直前になるほど選択肢は高くなりやすいものです。今のうちに候補を眺めておくくらいが、ちょうどいいのではないでしょうか(かく言う私も、毎回「今年こそ早めに」と言いながら、気づけば権利付き最終日の前日に慌てて注文画面を開いているのですが)。


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年8月7日時点の情報に基づいており、株価・配当利回り・優待内容は変動・変更される場合があります。権利付き最終日等の情報も最新の各社発表をご確認ください。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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