医療・介護インフラのツルハシ銘柄5選:高齢化を足元で支える中小型株

※当記事には広告・プロモーションが含まれます。

投資の世界で、確実に当たる予測はほとんどありません。株価も、金利も、為替も、明日どう動くかは誰にも分かりません。ですが、ほぼ確実に当たる予測が一つだけあります。それは「日本の高齢化は、これからも進む」ということです。内閣府の高齢社会白書によれば、日本の高齢化率(65歳以上人口の割合)はすでに29%台に達しています。この流れが短期間で逆転することは、まず考えられません。

ただ、私はこの「外れない予測」に投資するとき、製薬大手や病院そのものには手を出しません。狙うのは、その主役を足元で支える「ツルハシ」です。医療機器の部品、院内物流、感染対策、そして医薬品を病院や薬局に届ける仕組み——これらの裏方がなければ、医療・介護の現場は一日たりとも回りません。

本記事は、Stock Labツルハシシリーズの第9弾。高齢化という国策級のテーマを、足元で支える中小型株を5社厳選しました。

高齢化は外れない。でも私が買うのは製薬会社ではありません

日本の高齢化率は29%台に達し、厚生労働省の統計によれば国民医療費は年間48兆円を超える規模まで膨らんでいます。介護給付費も右肩上がりです。この巨大な需要を支えるには、医薬品を届ける物流、患者を支えるベッド、感染を防ぐ機器、透析や手術に使う医療材料など、無数の「装備」が欠かせません。

製薬大手や大病院は、たしかにこのテーマの「主役」です。しかし主役であるがゆえに競争も激しく、薬価改定や診療報酬改定といった政策リスクにも常にさらされています。一方、裏方の中小型企業は地味で目立ちませんが、景気に需要が左右されにくく、黒字を維持しながら配当を出し続けている企業が少なくありません。金を掘る人(主役)より、ツルハシを売る人(装備)——これが、Stock Labが一貫して大切にしている哲学です。

私が実践する「ツルハシ投資法」の全体像は、こちらの完全ガイドでまとめています。

ツルハシ投資法とは何か:国策の主役ではなく「装備」を売る企業に投資する

今回の銘柄選定5基準

5銘柄の選定にあたり、以下の基準を設けました。

  1. 時価総額3,000億円以下の中小型を優先(成長も期待できるため)
  2. 医療・介護インフラとの事業連関が明確(裏方=ツルハシであること)
  3. 配当利回り2.5%以上
  4. 過去5〜10年で大きな減配・無配転落がないこと(最重要)
  5. 直近決算で黒字・財務健全(自己資本比率が高め)

今回の選定にあたっては、20社以上の候補についてIRBANK等で過去10年の配当推移を一社ずつ確認しました。医療・介護セクターはコロナ禍の特需の反動や薬価改定の影響で、大幅な減配や無配転落を経験した企業が想像以上に多く、その多くを除外しています。

過去10年間、実質的な減配が確認できなかった企業だけを、最終的に採用しました。

医療・介護インフラ ツルハシ5銘柄 一覧表

銘柄名(コード)サブセクター時価総額株価配当利回り配当の安定性
シップヘルスケアHD(3360)院内物流・医療機器卸約2,200億円2,318円約2.80%過去10年減配なし
日本ライフライン(7575)循環器・医療機器(EP/アブレーション)約975億円1,368円約4.09%特別配当反動の調整あり・大幅減配なし
JMS(7702)透析・医療機器部材約116億円467円約3.64%過去10年減配なし
メディパルHD(7459)医薬品卸約6,054億円2,803円約3.14%過去10年減配なし
大研医器(7775)感染対策・麻酔機器約137億円430円約4.65%小幅な調整のみ・大幅減配なし
※時価総額・株価・配当利回りは2026年7月17日時点のYahoo!ファイナンスの数値です。

①院内物流・医療機器卸:シップヘルスケアホールディングス(3360)

医療・介護ツルハシとしての役割:シップヘルスケアHD(3360)は、医療機関向けの医療機器・医療材料の卸売りに加え、院内の物品管理を代行するSPD(院内物流受託)事業を展開しています。病院がスムーズに手術や検査を行うには、必要な材料が必要な時に必要な場所にある状態を維持しなければなりません。この「見えない裏方」の仕組みを支えているのが同社です。医療現場を回すインフラそのものであり、代替が効きにくい事業です。

配当・財務の安定性:配当利回りは約2.80%。過去10年の配当実績を確認したところ、株式分割による表面上の調整はあったものの、実質的な減配は一度も確認されず、一貫して増配基調が続いています。自己資本比率は39.2%、卸売業としては健全な水準です。

リスク・懸念点:①医薬品卸と同様、診療報酬・薬価改定など医療費抑制政策の影響を受けやすい業態です。②メディカルサプライ事業は好調な一方、利益面ではコスト増の影響も見られ、収益性の管理が課題です。

②循環器・医療機器:日本ライフライン(7575)

医療・介護ツルハシとしての役割:日本ライフライン(7575)は、不整脈治療領域(EP・アブレーション)を中心に、医療機器の輸入・製造・販売を手がける専門メーカーです。高齢化に伴い増加する不整脈患者に対し、カテーテルアブレーション治療に必要な機器・カテーテル類を医療現場に供給しています。特定の治療領域に特化したニッチな専門性を持ち、代替が効きにくい事業基盤を築いています。

配当・財務の安定性:配当利回りは約4.09%。過去10年の配当実績を確認したところ、2018年・2022年に小幅な調整はあったものの(2022年は前年の創業40周年記念配当の反動)、無配や大幅な削減はなく、基本的には一貫した増配基調で推移しています。自己資本比率は82.1%と極めて高く、財務基盤は堅固です。

リスク・懸念点:①特定の治療領域(不整脈)への依存度が高く、診療報酬改定や競合品の登場が業績に影響しやすい構造です。②医療機器の輸入・卸売という性質上、為替変動や仕入れ価格の変化がコストに直結するリスクがあります。

③透析・医療機器部材:JMS(7702)

医療・介護ツルハシとしての役割:JMS(7702)は、血液バッグ、AVF針(透析用の針)、薬剤調製・投与のクローズドシステムなどを手がける医療機器メーカーです。高齢化に伴って増加する透析患者や輸血が必要な患者を、目立たない部材の面から支えています。地味な製品群ですが、医療現場では代替の効かない消耗品であり、安定した需要が期待できます。

配当・財務の安定性:配当利回りは約3.64%。過去10年の配当実績を確認したところ、株式併合による表面上の変動を除けば減配は確認されず、10年以上にわたり16〜17円という安定した配当を維持しています。自己資本比率は50.2%です。時価総額は約116億円と、5銘柄の中でも成長期待のある小型株です。

リスク・懸念点:①直近決算は売上高が前年比で減少するなど、業績にやや軟調な兆しが見られます。②医療材料は価格競争や診療報酬上の償還価格の見直しの影響を受けやすい構造です。

④医薬品卸:メディパルホールディングス(7459)

医療・介護ツルハシとしての役割:メディパルHD(7459)は、医薬品卸で国内最大手級の企業です。製薬会社が作った薬を、全国の病院・薬局まで確実に届ける物流網は、医療インフラの根幹を支えています。派手さはありませんが、「薬が届かなければ治療が始まらない」という意味で、代替の効かない社会インフラそのものです。

配当・財務の安定性:配当利回りは約3.14%。過去10年の配当実績を確認したところ、一度も減配されておらず、ほぼ毎年増配修正が実施されています。PBRは0.88倍と割安な水準にとどまっており、時価総額は約6,054億円と今回の5銘柄では最大規模ですが、医薬品卸というインフラの中核を担う企業として採用しました。

リスク・懸念点:①医薬品卸は薬価改定のたびに利ざやが圧縮されやすく、政策リスクが業界共通の課題です。②自己資本比率は33.9%と、今回の5銘柄の中ではやや低めの水準です。

⑤感染対策・麻酔機器:大研医器(7775)

医療・介護ツルハシとしての役割:大研医器(7775)は、病院感染対策・麻酔関連製品を手がける研究開発型の医療機器メーカーです。手術後の痛みを軽減する医薬品注入装置や、感染対策のための真空吸引器・電動ポンプなど、手術室という医療現場の最前線を、目立たない機器の面から支えています。「COOPDECH」ブランドで知られ、ニッチな分野で存在感を発揮しています。

配当・財務の安定性:配当利回りは約4.65%と、今回の5銘柄で最も高い水準です。過去10年の配当実績では、2019年・2026年に小幅な調整(1株あたり数円程度の減少)が見られたものの、無配転落や大幅な削減には至っていません。自己資本比率は68.2%と高く、財務基盤は堅固です。時価総額は約137億円の小型株で、個人投資家にとって発掘感のある一社です。

リスク・懸念点:①原材料コストの上昇や販管費増加が、直近の利益面を圧迫しています。②ニッチな製品分野であるがゆえに、特定の医療機関・診療科への依存度が高くなりやすい構造です。

まとめ:高齢化という予測を、どう投資に変えるか

今回の5銘柄を整理すると、①シップヘルスケアHDは院内物流、②日本ライフラインは循環器・医療機器、③JMSは透析・医療機器部材、④メディパルHDは医薬品卸、⑤大研医器は感染対策・麻酔機器——どれも医療・介護の現場を、目立たない場所から支える裏方です。高齢化は外れない予測ですが、それをどう投資に変えるかは、銘柄の選び方次第だと私は考えています。

製薬大手や病院そのものに投資するのも、もちろん一つの選択です。でも私は、派手さはなくても需要が消えない裏方を、配当をもらいながら気長に持つスタイルの方が性に合っています。もちろん、高齢化というテーマ株はポートフォリオの一部にとどめるのが賢明で、これだけに集中するつもりはありません。地味な業界だからこそ、じっくり調べる価値がある——今回はそんな記事になりました(正直、大研医器という社名を最初に聞いたとき、何の会社か全く想像がつきませんでした)。

不況でも需要が落ちないディフェンシブ高配当株については、こちらの記事でも紹介しています。

景気後退が来ても配当が止まらない:不況に強いディフェンシブ高配当株5選


※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年7月20日時点の情報に基づいており、株価・配当利回りは変動します。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

📊 この記事で紹介した銘柄をチェックするなら

スクリーニング機能が充実した証券口座で、配当利回り・自己資本比率などの条件検索ができます。

SBI証券のスクリーニングを使ってみる【PR】

楽天証券の銘柄検索で調べる【PR】