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「増配株に投資したいけど、どこを見ればいいか分からない」——そんな悩みを持つ方は多いです。東証に上場している銘柄は約4,000社。闇雲に探しても、効率が悪いどころか、見落としだらけになります。
私は現在80銘柄以上の高配当株・増配株を保有していますが、ここまで銘柄を積み上げられたのは、スクリーニングの習慣があったからです。月に1〜2回、ツールを使って候補を絞り込み、深掘りリストを更新する。これを続けることで、自然と「次の銘柄」が見つかるようになりました。
以前の記事では、決算前に増配サプライズを見抜く方法をご紹介しました。今回はより日常的に使える、増配株スクリーニングの汎用メソッドを整理します。私が実際に使っている7つの条件を、必須3つ+プラス4つに分けて公開します。
4,000銘柄から10銘柄に絞る。スクリーニングは「排除の道具」
スクリーニングを「良い銘柄を探す道具」だと思っている方が多いですが、私の感覚は少し違います。スクリーニングは「悪い銘柄・条件を満たさない銘柄を排除する道具」です。
4,000社を一つひとつ調べることは、個人投資家には不可能です。しかし「配当性向60%以下」「連続増配5期以上」といった条件でフィルタリングすれば、候補は一気に数十〜数百社まで絞れます。そこからさらに条件を重ねると、最終的に10〜20銘柄が残ります。この残った銘柄を深掘りするのが、効率的な銘柄発掘の流れです。
決算前に増配サプライズを事前に見抜く方法については、こちらの記事で解説しています。
まずここを確認:外したら候補から外す3つの必須条件
7つのうち、最初の3つは「必須条件」です。これを満たさない銘柄は、それ以上調べずに候補から外します。
必須条件①:配当性向60%以下
配当性向とは、純利益のうち何%を配当に充てているかを示す指標です(配当金総額÷純利益×100)。
配当性向が高すぎると、業績が少し悪化しただけで減配リスクが高まります。私のラインは「50%以下が理想、60%が許容上限」です。配当性向が80%を超えている銘柄は、よほど安定したキャッシュフローがある業種(通信・インフラ系)でない限り、候補から外します。
確認方法は、株探の「業績」タブのほか、マネックス証券の銘柄スカウターでも財務指標をまとめて確認できます。複数期分のデータが一覧で見られるため、配当性向のトレンドを把握するのに便利です。
必須条件②:自己資本比率40%以上
自己資本比率は、総資産のうち返済不要の自己資本が占める割合です。この比率が低い企業は財務体質が脆弱で、景気後退時や業績悪化時に配当を維持できなくなるリスクがあります。
目安は40%以上。ただし、銀行・不動産・リースなど業種によって構造上低くなる分野もあるため、業種平均と比較して判断することが大切です。
確認方法は、四季報オンラインの「財務」タブ、または株探の「財務」欄です。
必須条件③:連続増配5期以上、または累進配当宣言あり
「たまたま5年間増配できた企業」と「増配をコミットしている企業」は、似ているようで全く違います。
連続増配5期以上であれば、少なくとも5年間の実績があります。さらに中期経営計画のIRページで「累進配当政策」「配当を減らさない」という方針が明文化されていれば、より信頼度が上がります。2026年5月時点の連続増配上位には、花王(36期)、三菱HCキャピタル(26期・配当利回り3.2%)、KDDI(24期)などが並んでいます。詳しくはダイヤモンドZAiの連続増配ランキング最新版も参考になります。
連続増配年数の確認方法は、みんかぶの連続増配ランキングが視覚的に分かりやすく便利です。
ここまで確認できれば優先度UP:4つのプラス条件
必須条件3つをクリアした銘柄に対して、以下の4つを確認します。全て満たす必要はなく、多く満たすほど私の「深掘りリスト」での優先度が上がります。
プラス条件④:フリーキャッシュフロー(FCF)がプラスで安定
フリーキャッシュフロー(FCF)は「営業キャッシュフロー−投資キャッシュフロー」で計算されます。FCFがプラスの企業は「事業で稼いだお金が手元に残っている」状態です。
FCFがマイナス続きの企業は、借入金や手元現金で配当を払っている可能性があります。これはいわゆる「タコ足配当」に近い状況で、いつか減配に転じるリスクがあります。配当性向だけでなく、FCFの推移を確認することで、より実態に即した判断ができます。
確認方法は、株探の「財務」タブにあるキャッシュフロー計算書で、営業CFと投資CFを3期分確認するのが手軽です。
プラス条件⑤:売上高・営業利益が過去3期で増加トレンド
増配を続けるためには、利益の成長が必要です。売上高・営業利益が3期連続で増加していれば、「増配を続ける原資がある」という根拠になります。
私は1期の落ち込みは許容しますが、2期以上連続して減収減益が続いている場合は要注意のフラグとして扱います。「今期から回復予定」というIR説明がある場合でも、実績で確認するまでは慎重に見ます。
確認方法は株探の「業績」タブで売上高・営業利益の推移を確認します。
プラス条件⑥:配当利回り2.5%以上(現在の株価水準で)
増配株とはいえ、現在の配当利回りが1%程度では、将来の増配を何年も待ち続けることになります。現時点で2.5%以上あれば、保有中もインカムゲインを得ながら「将来の増配」を享受できます。
ただし、この水準は市場全体の金利環境によって変わります。長期金利が上昇している局面では、2.5%では相対的に魅力が薄まることもあるため、相場環境と合わせて判断します。
プラス条件⑦:時価総額3,000億円以下(中小型)
大型株の増配情報は、機関投資家がすでに株価に織り込んでいることが多いです。一方、時価総額3,000億円以下の中小型株は、アナリストのカバレッジが薄く、割安に放置されている増配株が見つかりやすい傾向があります。
これはStock Labが特に重視している観点です。「大企業に混じって、誰も気づいていない優良中小型増配株を発掘する」——これが私のポートフォリオを80銘柄超まで広げてきたスタンスでもあります。
実際の手順:みんかぶ・株探を使った15分スクリーニング
7つの条件が揃ったところで、実際のスクリーニング手順を紹介します。使うのはみんかぶ・株探・四季報オンラインの3つです。特別なツールは必要ありません。
- みんかぶの連続増配ランキングで連続増配10期以上の銘柄一覧を取得
まず「連続増配10期以上」の銘柄をリストアップします。これで必須条件③の基礎データが揃います。 - 株探の「銘柄スクリーニング」で配当性向60%以下×自己資本比率40%以上でフィルタリング
数値でフィルタリングして、必須条件①②をクリアしない銘柄を一気に排除します。 - 残った銘柄の四季報オンラインで「3期分の業績トレンド」を確認
プラス条件⑤(売上・利益の増加トレンド)を確認します。四季報オンラインは業績推移のグラフが見やすくおすすめです。 - FCFがプラスか確認(株探「財務」タブ)
プラス条件④を確認し、FCFがマイナス続きの銘柄は候補から外します。 - 残った10〜20銘柄を「深掘りリスト」として保存
スプレッドシートや手帳に銘柄コードとメモを記録します。ここからが本番の深掘り分析です。
この手順を月1回繰り返すと、自然と銘柄候補が積み上がっていきます。なお、私が実際に最もよく使うのはマネックス証券の銘柄スカウターです。財務指標・配当性向・連続増配年数などを一画面で確認でき、スクリーニング後の深掘りに非常に便利なツールです。
まとめ:スクリーニングは入口。深掘りが本番
今回ご紹介した7つの条件をまとめます。
- 【必須①】配当性向60%以下(理想は50%以下)
- 【必須②】自己資本比率40%以上
- 【必須③】連続増配5期以上、または累進配当宣言あり
- 【プラス④】フリーキャッシュフローがプラスで安定
- 【プラス⑤】売上高・営業利益が過去3期で増加トレンド
- 【プラス⑥】配当利回り2.5%以上(現在の株価水準)
- 【プラス⑦】時価総額3,000億円以下(中小型)
スクリーニングはあくまで入口です。ここで残った銘柄を深掘り——IRを読む、決算短信を確認する、事業モデルを理解する——これが銘柄選定の本番です。スクリーニングは「調べる範囲を絞る」ための道具であって、それ自体が答えではありません。
累進配当を正式に宣言している中小型株については、こちらの記事で厳選5銘柄を紹介しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年5月25日時点の情報に基づいています。
クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。