含み損の高配当株、売る or 持つ?私が判断する5つの基準

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保有している高配当株が含み損になったとき、どうしていますか?証券アプリを開くたびに赤い数字が目に飛び込んできて、そっと画面を閉じてしまう——そんな経験、ありませんか(笑)。

私は現在80銘柄以上の高配当株を保有していますが、常に何銘柄かは含み損です。含み損と共存することは、高配当株投資の宿命のようなものだと思っています。ただ、目を背け続けることが最も危険だとも気づきました。なぜなら、判断が遅れるからです。

2026年5月現在、日経平均は60,000円台で推移しながらも、AI・半導体関連株の上昇一服感を背景に調整局面が続いています。バリュー株・高配当株はこの1年ほどアンダーパフォームが目立ち、含み損を抱える個人投資家も少なくない状況です。だからこそ、今この時期に「感情に流されない判断基準」を持つことが大切です。

今回は、私が実際に含み損銘柄と向き合うときに使っている5つの判断基準を整理します。「売るべき・持つべき」という断定はしません。あくまで「自分がどう判断するか」の軸を持つための、実践的なフレームワークです。

まず整理:株価が下がっただけの含み損と、本質が変わった含み損は全然違う

含み損になった銘柄を前にしたとき、最初にやるべきことがあります。それは「どちらのパターンか」を冷静に見極めることです。含み損には、大きく2つのパターンがあります。

パターンA:株価が下がっただけ(業績・配当は変わっていない)

市場全体の下落や一時的な悪材料によって株価が下がっているものの、企業の事業内容・業績・配当方針はまったく変わっていないケースです。このパターンでは、基本的に保有継続が合理的です。高配当株の場合、株価が下がると配当利回りが上がるため、「下がったら買い増しのチャンス」になる可能性すらあります。

パターンB:企業の本質が変わった含み損

業績が恒常的に悪化している、減配が発表された、または事業環境が構造的に変わってしまったケースです。このパターンでは、売却・見直しを真剣に検討する必要があります。

「株価が下がった」という事実だけではどちらのパターンかは判断できません。どちらかを見極めるための具体的な基準が、以降で紹介する5つです。

含み損銘柄と向き合う5つの判断基準

基準①:配当は維持・増配されているか

高配当株投資の目的は「配当収入を得ること」です。株価が下がっても配当が出続けていれば、そもそも投資目的は達成されています。

確認方法は簡単です。直近の決算発表・配当予想をチェックして、「前期比で増配・維持」であれば保有継続の根拠になります。逆に、配当性向が急上昇(目安として80%超)していたり、業績連動型配当の企業で業績が下振れていたりする場合は注意が必要です。

私の場合、配当が維持されている限り、株価下落は「安く買い増しできるチャンス」と捉えることがほとんどです。含み損になったからといって即座に不安になる必要はありません。

基準②:最初に買った理由はまだ有効か

「なぜその株を買ったか」を書き出してみてください。「安定した配当利回り・財務の健全性・ニッチな独占的事業」という理由で買ったなら、今もその理由が成立しているかを確認します。

確認方法は、直近の決算短信とIR資料を読むことです。事業環境に大きな変化がないかをチェックします。

警戒すべきは「なぜ買ったか思い出せない」というケースです。購入時の根拠が曖昧だった可能性があり、そうであれば今一度その銘柄を「今の自分なら買うか」という目線で見直す価値があります。

KDDI株価急落時に私が売らないと判断した実際の思考プロセスについては、こちらの記事で解説しています。

KDDI株価10%急落!それでも私が「売らない」と決めた3つの理由:子会社不祥事で見えた「買い場」のシグナルと、高配当株の出口戦略

基準③:業績は一時的な悪化か、構造的な悪化か

業績悪化には2種類あります。コスト増・特殊要因・景気後退など「一時的な悪化」と、事業モデルの陳腐化・市場縮小・競合の台頭など「構造的な悪化」です。

一時的な悪化であれば、回復が見込める段階で保有継続が合理的です。構造的な悪化が確認できた場合は、長期保有のリスクが高まっています。

確認方法は、複数期にわたる業績推移と業界全体のトレンドを照らし合わせることです。私が個人的に使っている目安は、「1〜2期の業績悪化」では売らない、「3期以上連続で悪化し、かつ回復の兆しがない」場合が警戒ラインです。もちろん、これはあくまで私の基準であって、絶対的な正解ではありません。

現在、AIの急激な発達で「SaaSの死」という言葉が叫ばれています。私のポートフォリオにも多くのSaaS銘柄が入っていますが、今は見極め時、と言えるかもしれません。

基準④:同じ資金で今すぐ買いたいか(機会コストの確認)

これは少し視点を変えた問いかけです。「この含み損銘柄を今すぐ売って、同じ資金で別の銘柄を買いたいか」と自問してみてください。

答えが「Yes」なら、売却を真剣に検討する価値があります。答えが「No(他に買いたいものも特にない)」なら、保有継続のコストは低いといえます。

これは感情ではなく「機会コスト」の論理です。「含み損だから売りたくない」という心理は、行動経済学でいう損失回避バイアスそのものです。このチェックは、そのバイアスに気づくためのツールでもあります。含み損があることと、その銘柄を保有し続けるべきかどうかは、本来まったく別の問題です。

基準⑤:含み損の規模がポートフォリオ全体に対して許容範囲か

分散投資の効果を改めて確認する基準です。1銘柄が−30%になっても、80銘柄に均等投資していればポートフォリオ全体への影響は約−0.375%です。心理的なダメージと実際の数字は、大きくかけ離れていることがほとんどです。

一方で、1銘柄に集中投資していた場合、−30%の含み損は「許容できない損失」になります。確認方法は、その銘柄の含み損額がポートフォリオ全体の何%かを計算することです。

私が目安にしているのは、「1銘柄の含み損がポートフォリオ全体の5%を超えている場合は、リバランスを検討する」というラインです。数字で確認すると、感情的な焦りが和らぐことも多いです。

私がついに売却を決断するのは、この3つのケース

5つの基準を踏まえたうえで、私が実際に「売る」と判断するシグナルを3つに絞ります。

シグナル①:大減配が確定した(かつ回復見通しが不明確)

高配当株投資において、減配は「投資目的の喪失」を意味します。これが最も明確な売却シグナルです。ただし、「一時的な減配+明確な回復計画あり」のケースは例外で、保有継続を検討する余地があります。大切なのは、減配の背景にある理由です。

シグナル②:3期以上連続で業績が悪化し、かつ業界トレンドも逆風

一時的ではなく、構造的な悪化が確認できた場合です。「いつか回復するかもしれない」という期待より、事実に基づく判断を優先します。業界全体が逆風の場合、個別企業の努力では限界があることも多いです。先述の「SaaSの死」は、このシグナルと言えます。

シグナル③:同じ資金でより良い銘柄を見つけた(かつ上記①②のシグナルも出ている)

これ単独では売る理由になりません。しかし、①②と組み合わさったとき、「乗り換え」を真剣に検討します。「より良い選択肢がある」という気づきと、「今の銘柄に問題が出ている」という事実が重なったときが、判断のタイミングです。

お気づきの通り、「株価が下がっただけ」はこのリストに入っていません。株価の下落は、売却の理由になりません。

まとめ:感情で売らない、感情で持ち続けない

今回の5つの判断基準を振り返ります。

  • 基準①:配当は維持・増配されているか
  • 基準②:最初に買った理由はまだ有効か
  • 基準③:業績は一時的な悪化か、構造的な悪化か
  • 基準④:同じ資金で今すぐ買いたいか(機会コストの確認)
  • 基準⑤:含み損の規模がポートフォリオ全体に対して許容範囲か

感情で売らない。でも、感情で「持ち続ける」のも同じくらい危険です。大切なのは、数字と事実に基づいて判断すること。その判断を下すための軸が、今回の5つの基準です。

……と偉そうに書きながら、私は米-イラン戦争が始まった際、含み損銘柄を見るのが怖くて数日間スマホの証券アプリを開きませんでした。

判断基準は持っていても、実践は難しいものです。でも、アプリを開かなかった数日間の後、冷静になってチェックしたら「配当維持・業績変わらず」だったので、そのまま保有継続しました。基準があれば、最終的には感情に勝てます(笑)。

高配当株を何銘柄持つべきかについては、こちらの記事で実体験とともに解説しています。

高配当株は何銘柄持つのが正解?銘柄数とリスク・管理コストの真実

※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年5月22日時点の情報に基づいています。

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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