9つの資産に分散する私が、それでもバランスファンドを買わない理由

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あなたのポートフォリオには、いくつの資産クラスがありますか。株式だけ、という方も多いでしょうし、株式と債券の2つ、という方もいるでしょう。

私の場合は、9つです。米国株や日本株といった株式はもちろん、債券、金、REIT(不動産)、そして暗号資産まで。改めて数えてみると、我ながら「ずいぶん広げたものだな」と思います。そして、正直に告白すると、ときどき「これは、広げすぎたのではないか」と迷うことがあるのです。合理性だけを考えれば、バランスファンドを1本買えば済む話かもしれません。

今日は、その迷いと、それでも自作の分散を続けている本当の理由を、数字を交えながら正直にお話しします。

まず全部見せます:私の9資産の配分

言葉で説明するより、まず現物をお見せしたほうが早いでしょう。これが、私が目標としている資産配分です。

資産クラス目標配分
米国株55%
日本株15%
新興国株10%
欧州株5%
米国債券4%
米国以外の債券3%
金・金鉱株3%
REIT(米国+日本)3%
暗号資産2%

ご覧の通り、株式が合計85%と、あくまで主力です。私は決して「なんでも均等に持つ」タイプではありません。ただ、残りの15%に、債券・金・REIT・暗号資産という「株以外」が並んでいます。なぜ、こんなに広げてしまったのか。話は、数年前にさかのぼります。

きっかけは本、広げた理由は「遊び心」

もともと私は、株式しか持っていませんでした。投資を始めた頃は、それで十分だと思っていたのです。転機になったのは、資産運用に関する何冊かの本を読んだことでした。

そこで学んだのが、「相関の低さ」という考え方です。債券や金といった資産は、株式と値動きの方向が異なることが多い。つまり、株が下がるときに、違う動きをしてくれる可能性がある。この「株が落ちたときに、一緒には落ちにくい資産」を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の揺れを和らげられる、というわけです。金融庁も、資産や地域を分散させる長期・分散投資を基本として挙げています。

ここで賢明な方なら、こう考えるはずです。「それなら、複数の資産に自動で分散してくれるバランスファンドを1本買えばいいじゃないか」と。実は、私もそう思いました。その通りなのです。ところが、私の中で、ある「遊び心」が頭をもたげました。

「自分で、年齢やそのときの考えに応じて、配分を調整してみたい」。この、ある種の物欲にも似た欲求に逆らえず、私は自作の道へと進んでいきました。目標配分を自分で設計し、少しずつ、コツコツと買い揃えていったのです。

9資産分散の「良かったこと」を正直に

では、実際に9資産に分散してみて、良かったことは何か。最大のメリットは、間違いなく「何が上がっても、自分は持っているから大丈夫」という安心感です。市場のどこかが盛り上がっているとき、その恩恵をわずかでも受けられている、という感覚は、想像以上に心を穏やかにしてくれます。

債券は、金利上昇局面をのぞけば、株式といい感じに逆相関してくれました。株が落ち込んだときに債券が支えてくれる——これは、まさに精神安定剤でした。ただ、正直に打ち明けると、私が債券を買い始めたのはゼロ金利に近い時期だったため、ここ数年はずっと少し含み損を抱えています。それでも、利率が高くなった今は分配金目的で買い足しやすく、あまり気にしていません。もそうです。株が暴落したときに金が上がってくれた場面があり、これも心の支えになりました。

暗号資産については、配分をわずか2%に抑えた「スパイス」という位置づけです。昨年くらいまでの上昇相場では「自分もこの流れに乗れているぞ」という感覚が持てました(最近は停滞気味で、正直、じっとしています)。決して大きく賭けるものではなく、あくまで全体のごく一部、という距離感を保っています。そして、金と暗号資産をのぞけば、どの資産も配当や分配金を生んでくれます。だから、株高で少し出遅れても、「待っていられる」のです。

そして「しんどいこと」も正直に

良いことばかりではありません。しんどいことも、包み隠さずお話しします。

まず、毎月の管理が、とにかく大変です。9つの資産の残高をそれぞれ確認し、目標配分とのズレを計算し、「今月はどの資産を、いくら買い足すか」の計画を立てる。これを、毎月やっています。バランスファンドなら自動でやってくれるリバランスを、私は手作業でやっているわけです。正直、手間だけを見れば、非効率きわまりないと思います。

そしてもう一つ。今のような株高局面では、「もっと株に振っておけば、もっと儲かったのに」と思うことが、実際にあります。冷静に計算すれば、この数年は、余計な分散などせず株式に集中していたほうが、リターンははっきりと高かったはずです。この事実からは、目をそらせません。分散とは、リターンの一部を諦めて、その代わりに安心を買う行為なのだと、身をもって実感しています。

投資商品を広げすぎたかもしれない、という迷いは、こちらの失敗談でも少し触れています。

私が投資で一番後悔している失敗:他人の「確信」に乗り続けた数年間

合理的な結論:たぶん、バランスファンドでいい

さて、ここまでの分析を、冷静に振り返ってみましょう。手間、コスト、そしてこの数年のリターン。これらを天秤にかければ、答えははっきりしています。多くの人にとっては、バランスファンドを1本買うか、株式のインデックスに寄せるほうが、合理的だということです。

バランスファンドなら、毎月の管理に時間を取られることもありません。リバランスも運用会社が自動でやってくれます。私が毎月うんうん唸りながらやっている作業を、たった1本の投資信託が、涼しい顔で肩代わりしてくれるのです。では——なぜ、私はやめないのでしょうか。

それでも続けるのは、これが「好き」だからです

ここからは、分析ではなく、本音の告白です。理由は、拍子抜けするほど単純でした。毎月の資産まとめも、配分の計画も、大変だけれど、私はこれが好きなのです。

月に一度、自分の資産全体をゆっくり眺める。「今月は米国株が伸びたな」「金が少し上がって、株の下げを埋めてくれたな」——そうやって世界経済の動きを肌で感じながら、「さて、今月は何を買い足そうか」と考える。この時間が、私にとっては純粋に楽しいのです。パズルを解くような、箱庭を育てるような、そんな感覚と言えばいいでしょうか。

投資には、2つの価値があると私は思っています。ひとつは「リターンの最適化」。もうひとつは「続けられる楽しさ」です。合理性だけを突き詰めるなら、私のやり方は不正解かもしれません。でも、楽しいからこそ、私はこの投資を長く続けてこられました。そして、投資において「長く続けられること」ほど、強い武器はありません。最適解より、続けられる解。これもまた、投資のひとつの真実だと思うのです。

あなたにとって投資は、義務ですか、趣味ですか

私の9資産分散は、合理性だけでは説明しきれません。冷静に見れば、もっと効率の良いやり方があるのも事実です。それでも私は、そこから得られる安心感と、なにより毎月の楽しさに、確かな価値を感じています。

大切なのは、リターンを最大化することそのものよりも、自分が心から納得して、長く続けられる形を見つけることではないでしょうか。バランスファンドで手間を省き、浮いた時間をほかの趣味に使うのも、立派な正解です。私のように、配分をいじること自体を趣味にしてしまうのも、また正解です。どちらが優れているという話ではありません。さて、あなたにとって投資は、こなすべき「義務」でしょうか。それとも、楽しむ「趣味」でしょうか(ちなみに我が家では、私が毎月ニヤニヤしながら資産表を眺めているので、家族には完全に「趣味の人」だと思われています)。

私の投資の軸である「インデックス×高配当株の二刀流」については、こちらで詳しく書いています。

インデックス投資と高配当株投資、両方やっている私が本音で語る【なぜ”二刀流”なのか】


※本記事は情報提供および筆者個人の経験・見解を目的としており、特定の投資手法や商品を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データは2026年7月15日時点の情報に基づいています。


著者プロフィール

クアット。90年代生まれ、東海地方出身。20代を世界各国で過ごし、4ヵ国語を操りながら多国籍な環境でキャリアを積む。2017年より投資を開始。現在は日本株・米国株を主力に運用し、アッパーマス層(資産4,000万円以上)に到達。海外での経験から「言葉や感情は揺らぐが、数字だけは嘘をつかない」と確信。趣味の域を超えた銘柄分析を、ポエムや感想を排除した「ロジック重視」の視点で発信中。

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